国内 2022.09.01

いよいよ秋の公式戦が開幕!大学ラグビー22-23シーズン展望【関東大学対抗戦/リーグ戦・関西大学リーグ J SPORTSで全試合配信!】

[ 編集部 ]
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いよいよ秋の公式戦が開幕!大学ラグビー22-23シーズン展望【関東大学対抗戦/リーグ戦・関西大学リーグ J SPORTSで全試合配信!】
今季帝京大の先頭に立つCTB松山千大主将。大阪桐蔭時代もキャプテンとして日本一の栄冠を手にしている(撮影:川口洋邦)

 連覇か。奪回か。それとも初戴冠か。2022年度秋の大学ラグビーの公式戦シーズンが、9月10日に開幕する。春季大会や夏合宿を通して着々と準備を進めてきた各校が、いよいよ迎える本番のリーグ戦でどんなパフォーマンスを繰り広げるのか。ここでは春、夏の戦いから見えてきた有力校の状況と、関東、関西各リーグの覇権争いを展望してみたい。

実力校ひしめく関東対抗戦。盤石の帝京を早稲田が追う。明治×筑波の開幕戦は注目!

 昨シーズン4年ぶりに大学日本一の座へ返り咲いた帝京大が連覇に向け着実に歩みを進める中、東西の強豪が懸命にそれを追走する。2022年度のここまでの流れを振り返ると、そんな構図が浮かび上がる。

 元日本代表PRでOBの相馬朋和新監督が就任した今季、帝京大は関東大学春季大会Aグループで明治大に26-35の敗戦を喫したものの、続く早稲田大戦(52-26)、東海大戦(59-21)に完勝し、4勝1敗で優勝を果たした。夏合宿も初戦で天理大を55-7と圧倒すると、早稲田大には0-21と先行される苦しい展開からの逆転という強さを感じさせる内容で35-28と勝利。さらに最終戦で春に敗れている明治大から54-19の快勝を収め、いい形で合宿をしめくくった。

 強烈なリーダーシップでチームを牽引したPR細木康太郎らが卒業したものの、奥井章仁、青木恵斗の両FLが象徴するフィジカルバトルの支配力は今年も健在。夏合宿はHO江良颯、LO本橋拓馬と主軸2人が欠場する中で結果を残しており、陣容が整えばFWはもう一段スケールアップする。BKもCTB松山千大主将を中心にSO高本幹也、万能BK谷中樹平ら経験あるメンバーが数多く残り、総合力の高いラインに仕上がった。分厚い選手層を見ても、間違いなく覇権争いのトップランナーといえるだろう。

覇権奪回を期す早稲田大のFL相良昌彦主将。1年時に優勝を経験している(撮影:川口洋邦)

 そのライバルとなりそうなのは、同じ関東大学対抗戦グループの早稲田大と明治大だ。早稲田大は春季大会で帝京大(26-52)、東海大(29-38)、明治大(19-26)に敗れAグループ4位に終わったものの、夏合宿では帝京大と終盤までもつれる接戦を展開し、あらためて力があることを証明した。その後も京都産業大に40-22、同志社大に33-25と関西勢に連勝。戦力面ではNO8から転向したHO佐藤健次、キャプテンのNO8相良昌彦が引っ張るFWがたくましさを増し、SH宮尾昌典やSO伊藤大祐、CTB松下怜央ら学生屈指のタレントがそろうBKの決定力が生きる場面が増えてきた。

 明治大は合宿初戦で天理大に12-12と引き分け、8月27日の帝京大戦は19-54の完敗を喫するなど、この夏は試練を味わった。もっともWTB石田吉平主将を筆頭に、PR大賀宗志副将、LO山本嶺二郎、CTB廣瀬雄也ら前年からレギュラーを務める主軸を数多く欠く中での戦いだった点は考慮すべきだろう。春季大会で帝京大、早稲田大を破っているように地力は疑いないだけに、ここからいかに状態を上げていくかが注目される。

 昨季対抗戦4位の慶應義塾大、同6位の筑波大も上位を狙えるポテンシャルを秘めた存在で、日本体育大、青山学院大、立教大を加えた対抗戦グループは今年も激しい順位争いが繰り広げられるだろう。特に筑波大は夏合宿で日本大(16-12)、大東文化大(32-17)と関東リーグ戦グループの実力校を倒しており、上り調子にあることをうかがわせる。オープニングマッチとなる9月10日の明治大戦は、シーズンの流れを左右する大一番となりそうだ。

関東リーグ戦は東海が充実。中位は今年も混戦か。

悲願の日本一に届くか。堅実な攻守が光る東海大CTB伊藤峻祐主将(撮影:桜井ひとし)

 関東大学リーグ戦では、4連覇中の東海大が頭ひとつ抜けた安定感を誇示している。春季大会は最終戦で帝京大に敗れ優勝を逃したものの、夏合宿で同志社大に58-19、天理大に41-19、慶應義塾大に36-24と難敵を連破。選手権4強入りを果たした昨年度のレギュラーのうち9人が卒業したが、今シーズンも遜色のない戦いを続けている。

 とりわけ目を引くのは看板のFW陣の充実ぶりだ。LOワイサケ・ララトゥブア、FLレキマ・ナサミラと最終学年を迎えたフィジー出身の留学生がサイズとパワーを生かしてコリジョン局面の軸となり、副将のNO8井島彰英、FL佐々木浩祐らが持ち味を存分に発揮している。たびたび相手を圧倒するシーンが見られたスクラムも、チームの大きな武器になるはずだ。

 BKではSO武藤ゆらぎの好調が際立つ。ユーティリティプレーヤーの谷口宜顕も高校時代と同じFBに定着して本来の持ち味をいかんなく披露しており、伊藤峻祐主将、近藤翔耶のCTB陣や中川湧眞、岡村優太の両WTBと合わせてアグレッシブなラインになった。伊藤主将がテーマに掲げるディフェンスの完成度が高まれば、悲願の日本一にも十分手の届く存在といえるだろう。

 前年2位の日本大、3位の大東文化大はいずれもBKに下級生時から公式戦を経験している実力者を擁し、高い得点力が魅力だ。ただ春季大会では40失点以上のゲームが続くなど、ディフェンス面で大きな課題を残した。試合巧者がひしめく大学選手権でタイトな戦いを勝ち上がるためには、失点を最小限にとどめる防御力が不可欠。リーグ戦を通してどこまでその部分を高められるかが、重要なテーマとなる。

 例年関東リーグ戦は予想外の接戦が展開されることも多く、昨季4位の関東学院大、5位流通経済大、6位法政大にも上位進出の可能性はある。入替戦に勝って昇格を果たした立正大と東洋大が、久しぶりの1部でどんなチャレンジを見せるかも楽しみだ。

関西は京都産業、天理の2強が軸。3位争いがおもしろい。

昨季旋風を巻き起こした京産大。FL福西隼杜主将は球際で無類の強さを誇る(撮影:早浪章弘)

 関西勢では、昨シーズンの大学選手権で鮮烈な印象を刻んだ京都産業大がリーグを牽引しそうだ。共同主将のFL福西隼杜、CTB家村健太ら前年のレギュラー9人が残り、新戦力の台頭も加わって戦力はさらにスケールアップした。特に鮮烈なインパクトを与えているのが、ルーキーのシオネ・ポルテレ。高校時代はPRからバックロー、BKまでこなした万能フットボーラーで、現在は圧巻のパワーとスピードを武器にWTBで驚異的なパフォーマンスを見せている。

 夏合宿では日本大(68-26)、早稲田大(22-40)、流通経済大(56-0)と、関東勢と精力的にトレーニングマッチをこなした。FL三木皓正やWTB船曳涼太らを欠く中、リーグ戦の2校に大勝し、対抗戦の優勝候補の一角である早稲田大と競り合ったことは、チームの底力を示す結果といえるだろう。FW、BKともバランスのとれた布陣で、経験の蓄積もあるだけに、勢いに乗れば昨季以上のステージも十分視野に入る。

 その京都産業大と関西大学春季トーナメント決勝で引き分け、両校優勝となった天理大も、可能性を秘めたチームだ。春はAチームが公式戦、練習試合を負けなしで終え、夏合宿でも明治大に12-12と互角の戦いを演じた。帝京大に7-55、東海大には19-41と完敗を喫したものの、この時期に全国トップクラスの強豪と3試合を戦った経験は、かけがえのない財産になるだろう。

 戦力面ではFWで多くのメンバーが入れ替わったが、LOナイバルワガ セタ(187cm、100kg)やFL/LO鄭兆毅(185cm、103kg)、NO8パトリック・ヴァカタ(189cm、115kg)らを擁し、昨季以上にサイズとフィジカリティを備えたパックに仕上がりそうだ。一方BKはSH北條拓郎、SO福本優斗の3年生HB団をはじめ、前年のレギュラーが多く残った。1年生にもFB上ノ坊駿介やFL/LO大西一平ら高校ジャパン級の逸材が入部しており、リーグ戦で試合を重ねるにつれてチーム力を伸ばしていきそうな予感がある。

 昨季2位に躍進を遂げた近畿大は多くの主力が卒業したものの、春季トーナメントで3位と一定の結果を残した。快進撃の原動力となったスクラムの安定と、若いBKの成長が、2季連続上位進出の鍵になるだろう。宮本啓希新監督が就任した同志社大は春、夏と苦しい戦いが続いたが、夏合宿最終戦で早稲田大に25-33と健闘。ここまでの取り組みが徐々に花開きつつあることを感じさせた。

 リーグ全体としては京都産業大と天理大の2校が頭ひとつ抜けている印象だが、それ以外の6校は戦力的に拮抗しており、立命館大、関西大、摂南大、関西学院大もおおいにチャンスはある。大学選手権出場枠をかけた3位争いは、例年以上に激しい戦いとなりそうだ。

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