国内 2022.08.28

みんな笑顔で楕円球に触れた 『第11回在日コリアンラグビーフェスティバル』

[ 見明亨徳 ]
みんな笑顔で楕円球に触れた 『第11回在日コリアンラグビーフェスティバル』
閉会式は煙もうもうの焼肉の中で開催(撮影:見明亨徳)


 在日コリアン・ラガーマンの祭典「第11回在日コリアンラグビーフェスティバル」が8月27日、東京・小平市の朝鮮大学校グラウンドで開催された。高校、大学、社会人6試合をおこなった。

 〆はやっぱり「焼肉」で参加者、和気あいあいに。試合終了後、大学敷地内で参加者が待ちにまった「焼肉」の閉会式。朝鮮大食堂の秘伝の「たれ」につけたホルモンやカルビを七輪で焼く。ビール、チューハイともマッチする味。初めて食べた元トップリーガーたちも「美味しい」と唸る。在日フェスが開かれる各地で「焼肉」が提供される。「ここ朝大の味が一番」と言われている。

大阪から参加した大阪朝高保護者も朝大の味を楽しむ(撮影:見明亨徳)
これが朝大食堂のタレでつけた焼肉(撮影:見明亨徳)
ラグビー体験会に参加の親子も食べる(撮影:見明亨徳)

 閉会式ではリーグワンに所属する選手たちが登壇。先の日本代表に選ばれて朝鮮学校卒業者で初めて試合に出場した李承信(リ・スンシン)の活躍が刺激になっている。「日本代表を目指します」という目標を語る選手も。

朝大CTB金慶生(キム・ギョンセン)主将。大阪朝高では日本代表、李承信と同期だ(撮影:見明亨徳)

<朝鮮大が明治学院大に快勝>

 大会のメインゲーム。朝大と明治学院大戦は朝大が後半逆転し40-28で制した。
 関東大学リーグ戦2部と対抗戦Bの対戦。前半7分、朝大がラインアウト、モールで先制すると、5分後にもトライを奪い12-0とした。ここから明学大もエンジンが始動、ラインアウト、モールでお返しの5点をあげると36分までの3連続トライで12-21と逆転。朝大が前半終了前にラインアウトからのサインプレーで7点をあげ、19-21と迫った。

 後半は朝大の時間になった。3分、明学大ゴール前で朝大ボールのスクラム。朝大がプッシュをかけると明学大の反則、すかさずタップから攻め中央インゴールへ仕留め、逆転した(26-21)。さらに12分、スクラム起点で明学大ゴールへ迫る、フォワードがピック・アンド・ゴーで進むと最後はSO金秀鎮(キム・スジン、2年)が中央へ走りこんだ。
 金は高校3年時に冬の全国大会で大阪朝高が4強入りしたときのメンバー。クボタスピアーズ船橋・東京ベイのWTB兄・秀隆(スリュン)と同じコースを歩んでいる。兄も会場を訪れ後輩たちの戦いを見守っていた。「朝大でフェスが開催されてうれしい。多くの方に朝大ラグビーを見てもらえます。朝大は弟たちがいる間にもっと強化できれば」と口にした。
 朝大はさらに1トライを加え、明学大の反撃を1トライに抑え40-28で快勝した。

朝大SO金秀鎮が中央へトライ(撮影:見明亨徳)
社会人のライバル東西対決。千里馬(青ジャージー)が高麗を下した(撮影:見明亨徳)

 社会人は在日クラブチームのライバル東西対決。東京闘球団高麗と千里馬クラブの争い。
 試合開始からこの一戦にかける千里馬の気持ちがプレーに現れた。出足鋭いディフェンスで高麗アタックを止める。先制も千里馬、高麗ゴール前で反則を得るとタップからフォワードがインゴールをおとし入れた。さらに35分に左中間へトライし14-0、高麗もトライで7点を返し、14-7で後半へ。千里馬がギアを上げる。開始早々、ゴールラインを割ると3トライ追加し、40-7と大勝で終えた。千里馬アドバイザーの金信男(キム・シンナム)さんは「チームで勝つために本気で取り組んだ結果」と満足気だった。

 クラブチームの対戦、40歳代の日本人元トップリーガーも加わったオールアウトインターナショナルと在日レジェンドの試合は、在日が奮闘した。試合終盤まで12-7とリードしたが終了前にオールアウトがトライ、ゴールを決めて12-14でサヨナラ勝ちした。

在日レジェンドWTB前朝大監督、李鍾基さんのアタック(撮影:見明亨徳)

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