日本代表 2022.05.30

「スピアーズで日本一」に集中したから開いた道。立川理道、ジャパンへ再挑戦

[ 編集部 ]
「スピアーズで日本一」に集中したから開いた道。立川理道、ジャパンへ再挑戦
経験値をさらに高めて帰ってくる。(撮影/松本かおり)



 日本代表キャップ(55キャップ目)を最後に得たのは2018年6月のジョージア戦だった。
 その時以来の晴れ舞台は、6月のウルグアイ戦、または7月のフランス戦で巡ってくるだろうか。

 リーグワン元年にディビジョン1の3位という成績を残したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。同チームの主将を務める、CTB立川理道が5月28日にシーズン最後の試合を終え(3位決定戦/23-15 BL東京)、日本代表のシーズンに挑む。

 32歳で迎えた今季は、レギュラーシーズンの13試合(14試合実施)とプレーオフ2試合に出場。
 プレータイムは1000分を超える活躍だった。

 集中力高く臨んだ準決勝の立ち上がりには、大きくエリアを得る好キック2本を見せた。心身の状態の良さを伺わせるものだった。
 安定感のあるパフォーマンスを評価されて日本代表候補へ選出された。

 準決勝で埼玉パナソニックワイルドナイツに10-24と敗れた後、キャプテンとして、チームの足取りを振り返った。
「コロナ禍やケガがあった中で、日本人の若い選手がたくさん試合に出たシーズンでした。(それでも)各国のキャップホルダーや外国出身選手がいない中で、リーグ戦をしっかり戦えた。若い層の成長が感じられました」

 手応えを感じたシーズン。しかし、満足はない。
「プレーオフのようなタイトな試合は、経験しないと分からないことも多い。スピアーズのその経験は、まだ昨年からです。毎年繰り返すことでチームに文化ができると思っています」

 準決勝では敗れるも、スピアーズは3位決定戦で逆転勝ちを収める。
 チームはまたひとつ貴重な経験を積み上げた。来季は高まったスタンダードをスタートラインにできる。

 シーズンが終わり、一人の選手としてチャレンジする季節が始まる。
 日本代表候補の発表はレギュラーシーズン終了直後と、まだ戦いの途中だった。そのため立川主将自身、スピアーズのラストゲームが終わるまでは、あまり意識することはなかったと言う。

「もちろん、選ばれたのは嬉しい」と話すも、「(SO松田力也やCTB中村亮土など)ケガ人の状況もあっての選出だと思います。ただ、どういう立ち位置であっても自分の役割を果たしたい」と落ち着いている。

 以前と比べ、日本代表首脳陣がより高い評価をしたからこそ選出された今回。
 本人は、「バーナード(SOフォーリー)や(CTBライアン)クロッティがキャプテンの仕事をサポートしてくれたので、ここ数年思い切り、のびのびとプレーできています。そういったチーム状況のおかげ」と話し、周囲への感謝を忘れない。

 6月に入れば日本代表活動が始まる。競争の日々をにらみ、ベテランらしい言葉を口にする。
「(試合)メンバーに選ばれる、選ばれないに関係なく、そこでできることをやる。出られたら、チームをうまく回す役をやりたい。出られなくても、求められていることを理解して動きます」

 気負いはない。自然体でのチャレンジ。
「現役選手である以上、日本代表に戻りたい気持ちはいつも持っていました。でも、今季はチームで日本一になることにフォーカスして、他のことを考える時間はなかった。そこに注ぐ力の比率が大きく上回った中で、結果的に(ジャパンに)選出されたのは、ある意味、理想的でよかった」

 いい感じで肩の力が抜けている。そんなときに、嬉しい結果が待っていることはよくある。

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