桐蔭学園が昨季花園王者・東海大仰星とのタイトゲーム制し、準決勝進出。
「勝負に勝った、ということだけです」
タイトなゲームを終えた両軍の指揮官に、笑顔はなかった。
制した桐蔭学園・藤原秀之監督は試合後、淡々と反省を述べるのみだった。
「最初から最後までミスで終わりました」
3月28日、第23回全国高校選抜大会の準々決勝がおこなわれ、第1試合で桐蔭学園が昨季花園王者の東海大仰星を破った。15-10だった。
桐蔭、仰星ともに、試合経験の浅さと強風からくるハンドリングエラーとパスミスで思うようなアタックができなかった。
藤原監督も「相手のミスに助けられた試合。(勝つには仰星の)ミスボールしかないと思ってました」と話す。
0-5とされた前半終了間際がそうだった。仰星が自陣ゴール前でファンブル。そこに桐蔭LO鈴木貴斗の好セーブでボールを奪い、同点トライにつながった。
「ディフェンスの練習はできていません。ただ、前に出ようという意識だけは持っていました」と藤原監督。その意識が相手のミスを誘い、スコアを呼んだ。
この試合の勲章者はCTB白井瑛人。花園を経験する松田怜大、中瀬亮誠の両CTBのコンディション不良により、代わって先発した1年生が躍動した。
前半の同点トライは、白井の好タックルによる相手の落球が布石となっていた。そしてスコアの停滞した後半14分に逆転のトライを挙げる。
FB萩井耀司の突破を起点に、最後は白井がふたり、三人とタックラーを振り切り、インゴールまで駆けた。これが決勝点になった(12-5)。
藤原監督は「(生徒たちは)前日のミーティングで、ラグビーの話よりもメンタルのことをずっと話してました。2時間半くらい。(だから)ハートだけは持っていたと思う」と振り返る。
桐蔭はこれで6大会連続の4強入り。翌29日の準決勝で、初の4強入りを叶えた報徳学園とぶつかる(流経大柏に不戦勝)。