国内 2021.11.10

東海大のパワーに何を思ったか。法大サラブレッド竹部力は「ハードワーク」誓う。

[ 向 風見也 ]
東海大のパワーに何を思ったか。法大サラブレッド竹部力は「ハードワーク」誓う。
法政大の竹部力。11月7日の東海大戦でも奮闘した(撮影:松本かおり)


 押された。東海大に圧倒された。

 試合後は控え部員の録画ツールの前で「えー…」と重苦しい顔つき。間接取材にはこう応じる。

「スクラムは最初のヒットスピードで勝って、自分たちの法大のルーティーンで…としていこうと思ったのですが…試合中にその修正ができなかったので、次の試合では改善したいです。モールはずらしできていた。皆でコミュニケーションを取って、ひとりでもディフェンスが欠けないようにしたい」

 11月7日、東京は八王子市上柚木公園陸上競技場。法大ラグビー部2年の竹部力は、加盟する関東大学リーグ戦1部の5戦目に出た。4連覇を狙う東海大に、26-64と敗れた。

 陣地を支配できた序盤は一時6-0とリードを広げるも、18分、25分の連続トライなどで6-14と勝ち越される。いずれの場面でも、複数名が固まって押すモールに手こずった。それを前後し、8対8で組み合うスクラムでも後退させられた。

 本来は仕掛けの低さ、速さで相手の力を減少させたかった。しかし先発FWの平均体重で約9キロ上回る東海大には、ウェイトと同時に一体感もあった。

 法大が圧力を受けたのは、球が動き出してからも同じだった。FLに入った身長190センチ、体重123キロのレキマ・ナサミラに中央、タッチライン際と縦横無尽に走られ、CTBの丸山凛太朗、WTBの林隆広、FBの野口幹太ら身長170センチ台のチャンスメーカーにも防御の死角を突かれた。

 試合直後にカメラを向けられた竹部は、こうも述べていた。

「1対1で負けている場面が多く、オフロード(タックルされながらのパス)で相手につながれる場面が多かった」

 祖父の肇氏、父の太朗氏は法大で大学日本一を経験。息子も幼少期に福岡でラグビーを始め、小学生の頃から法大のOBとよく会っていた。父と同じ大分舞鶴高時代は別な大学へ進もうとも考えたが、父に法大を勧められなかったことで、かえって「やっぱり、小さい頃から行きたかった法大に」と決意できた。

 身長185センチ、体重110キロ。将来的にはスクラム最前列のPRでプレーしたいというが、いまはチームの意向を踏まえて2列目のLOでプレーする。1年時からレギュラーを張る。

 得意技はジャッカル。接点の相手ボールに絡むプレーだ。10月30日の大東大戦(埼玉・セナリオハウスフィールド三郷)では、自陣ゴール前、さらには敵陣22メートル線付近でそのスキルを披露。ピンチの芽を摘み、ペナルティゴールによるスコアを演出した。振り返る言葉に、場当たり的でない姿勢がにじんだ。

「大東大は外に回した時に、(その近くにいる)BKの選手のオーバー(接点へのサポート)が遅いとわかっていた。(実際に狙った場面では、サポート役に)体重の軽い人がいたので、そこは狙おうと思いました」

 その大東大戦は21-29と惜敗していて、東海大戦での連敗を受けて通算2勝3敗。勝ち点は11と8チーム中4位につける。残り2試合で3位以内に入り、大学選手権進出を果たしたい。

「日本一にはなりたいなとは思っていますが、チームの目標である選手権出場に向けて頑張っていきたい。コンタクトとハードワーク(が必要)。もっと頑張らなきゃいけない」

 開幕前からこう述べていた竹部はいま、スタミナ面の課題を自覚しつつ「勝ちにこだわって、ひとつひとつの試合でオールアウトしていきたい」。厳しいゲームでこそ、存在感を発揮したい。

PICK UP