大敗に「泣きたいくらい悔しい」。ジャパンの感じた「勢いの差」は、どこから
アタック。ディフェンス。セットピース。すべてで負けた。
日本代表を率いるジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(以下、HC)は、アイルランド代表に5-60(前半0-29)と大敗した後、試合を振り返ってそう言った。
9トライを許し、1トライしか奪えなかった。
指揮官は「モメンタム」(勢い)が相手にはあり、自分たちには欠けていたと振り返った。
この日100キャップに到達したジョニー・セクストンがSOの位置で躍動したアイルランド代表は、多くの選手がスペースに走り込んだ。
オフロードパスで前へ、前へ。日本代表は「受け身になった」(ジョセフHC)。
自分たちのアタック時にはラインアウトが安定せず、うまく仕掛けられなかった。
ミスも多発した。
ボールを動かすことが強みのチームは、その前提である前に出ることができず、相手に圧力を与えられなかった。
ディフェンス時は、キック後のポジショニングが乱れた。
ボールキャリアーへのファーストタックラーもコンタクト時に差し込まれ、勢いを止めることができなかった。
FLピーター・ラブスカフニ主将は「自分たちが何をすべきかクリアだったが、モメンタムを止め切れず、(自分たちは)生み出せなかった」と相手の充実を認めた。
修正能力が足りなかった。
そう言ったのはFB松島幸太朗だ。アイルランド代表のスタイルは思い描いていたものと違った。
「(もっと)キックを蹴ってくると予想していたが、真逆のことをしてきた。それにプレッシャーを与えられず、80分やりたいようにプレーさせてしまった」
松島は、相手のプレー強度は想定内も、うまさを感じたと話す。
「タックルが成立しないことも多かった。ディフェンスのノミネートミスなどでオフロードパスをつながれた」
失トライ後、インゴールでのハドルで修正点を確認しあった。しかし、実行に移すことができなかった。
SO田村優は、トイメンに立ったセクストンの存在感を感じた。
2019年のワールドカップ、今年7月の対戦時にはいなかった司令塔は、まさにグラウンドを支配していた。
「勢いあるアタックに、ゲインラインを突破される状態が続いていた。(セクストンがいなかった)いままでと違う脅威を感じた」という。
10月23日のオーストラリア戦(23-32)で見られた課題は直せなかった。
13ペナルティは2試合連続。相手に好機を多く与え、自分たちのアタック機会が少なければ、強豪国相手では差が開く。
ジョセフHCは「(ポルトガル戦、スコットランド戦と続くツアーのうちに)立て直す」と誓った。
NO8姫野和樹は試合後のテレビインタビューに対し、「泣きたいほど悔しい」と答えた。
「また一から、足元を見直して、チームとしてやっていかないといけない」