中大・茂原隆由主将はチームの「本質」を理解。10月31日、東海大に挑む
野太い声で味方を鼓舞する。
中大ラグビー部4年の茂原隆由主将は、最後の夏合宿を経てひと皮むけたという。
「合宿中は自分たちに甘えがあった。雰囲気が悪くなったらそれにのまれちゃって、その流れを変えられる人がいなかった。それは、主将としての自分の責任でもあります。ここから足りない部分が何か、皆で色々と話して…。できることはすべてやろうと、私生活から見直しました。僕は主将として、『自分から(行動する)』と心がけるようにしました」
立場が人を変える。そう思わせる。
「自分にはどこか奥手なところがありましたが、(感情を)表に出す、前に出る、と意識して…。本当な苦手なことだったんですが、それをやっていくうちに、自分も、チームも、変われた」
群馬県の高崎工高に入った当時、野球少年だった。捕手をしていた。1年目の途中に肘を故障し、「手術しないといけなくなって…」。ちょうどその頃、ラグビー部の顧問に誘われた。
転部して、2年になると試合に出られるようになった。「コンタクトプレーで相手を吹っ飛ばして、気持ちよくなりました」。やがて、複数の大学からラブコールを受ける。少数精鋭の中大を選び、すぐに一軍に絡んだ。
今季の公式記録で「身長188センチ、体重130キロ」。小柄な選手の多いクラブにあって、堂々とした体躯は際立った。
高校時代には左PR、LOと複数の働き場を経験したが、やがて右PRに固定される。卒業後は国内リーグワンへの挑戦を視野に入れ、いまは最後の関東大学リーグ戦1部に挑む。
今季2戦目では、前年度2位の流経大を42—22で下す。相手の本拠地で、今季初白星を挙げた。
「15人全員が戦って…。1人ひとりが勝ち取った勝利だと思う。皆、凄く頼もしかったと感じて…。本当にやりやすかったです」
続く3戦目では、同4位の法大に13—40で敗れた。茂原は直後に言う。
「一個、一個のプレーで継続できなかったのが(点差を離された)要因だと思います。自分たちのラグビーは、一個、一個の役割(をそれぞれこなすこと)が重要。一個、ミスが起きて、(流れが)切れてしまった」
ただし、これまで進んできた道は信じる。
一昨季まで2シーズン連続で下部との入替戦に進出も、前年度は8チーム中5位と順位を上げている。松田雄監督のもと、2019年度より遠藤哲ヘッドコーチ(以下、HC)が就任。攻守で鋭い出足を意識する。過去3戦を通じても、そのスタンスを貫いた。
タフな鍛錬をいとわぬ遠藤HCの方針は、徐々に部内で受け入れられている。茂原は開幕前、こう述べていた。
「選手のなかで、表面的ではなく、本質的な理解が深まってきた。自分たちが納得のいく、強みのスピードを出すラグビーを体現できている」
10月31日は埼玉のセナリオハウスフィールド三郷で、3連覇中の東海大とぶつかる。法大戦の負けを受け、茂原は「チャレンジャーとしてやっていきたい。1個、1個のミスが失点につながると思って、1個、1個のプレーを大事にする」。
一戦必勝を誓う。