ラグビーの理解と技術向上への探究心を動画で配信。「らぐびーくえすと」
7人制ラグビー選手として活動する林大成は2018年、東海大学卒業後から在籍していたキヤノンイーグルスを退団し、日本ラグビー協会と7人制専属選手契約を結んだ。
代表の活動がない期間はフリーランスのような形で、様々なプロジェクトにも取り組んできた。
グースステップの習得法などの動画を、SNSを通じて配信するというような活動も、その一部だ。
自身の、選手としての技術の向上を二の次にしているというわけではない。
「選手としての自分の向上に役立っている情報を、SNSを通じて発信している」と林は考えている。
林に技術向上のための様々な情報や練習メニューを提供するコーチ役を務めるのが井上正幸さんだ。医療機器の販売という仕事にも関わっており、パートタイムでコーチ業にも情熱を燃やす、勉強熱心な、熱いコーチだ。
林と井上コーチの師弟関係に、林の東海大ラグビー部時代からの仲間、小倉智博さんも加わって開始したプロジェクトが「らぐびーくえすと」だ。小倉さんは動画編集でサポートする。
2014年のことだった。
林が東海大主将としてチーム戦術を熱心にネットで勉強していく過程で、井上コーチのブログと出会った。
「スキルを磨く練習メニュー、戦術の理解に役立つ教材は、様々なメディアを合計すれば1000本は超えると思います」
井上コーチの自宅には、そういった質の高い教材が保存されている。同コーチは教材のメッセージを言語化し、現場で選手たちに伝える術に長けている。
大阪府大東市出身の井上コーチは、市の教育委員会から部活や体育の指導教材の提供を依頼され、新しい世代へ、より分かりやすい情報提供に取り組みはじめた。
忙しい日々の中、心理学のセミナーも受講する。常に学ぶ姿勢を忘れない。
エディー・ジョーンズ氏(イングランド代表HC、元日本代表HC)が主催するコーチングクリニックにも参加し、他のコーチからも多くのことを学んでいる。
長く井上コーチを師と仰ぐ林は、大きな夢だった東京オリンピックで7人制ラグビーの日本代表として戦うため、練習を重ねてきた。
残念ながら夢の舞台はその直前で消えてしまったが、コーチ&アスリートのラグビーへの探究はまだまだ続く。
現在29歳の林は、2024年パリ五輪を32歳で迎える。セブンズ代表候補の活動がないときは体を休め、井上コーチと時間を費やすこともできる。ふたりは試合へ向け、体調をピークに持っていく方法についても語り合うだろう。
3年後の夢の舞台に向け、ふたりの関係はどのように発展していくのだろう。
「らぐびーくえすと」の今後の行方に注目していきたいと思う気持ちは、ラグビーが好きな人なら誰もが理解できるだろう。