日本代表、ハード日程3連勝締め! スクラムにも手応え
勝つことへの強い欲望をジャパンにもたらした田中史朗
(撮影:松本かおり)
1カ月におよぶ日本代表の激闘が終わった。2年ぶりのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)優勝はならなかったが、ウエールズ代表から歴史的勝利をあげたエディーJAPANは、中3日で世界ランキング上位のカナダも下し、30日間でラストの戦い(テストマッチ6試合目)となった6月23日のPNCアメリカ代表戦を、38−20で制した。
東京・秩父宮ラグビー場で日本代表の魂のこもったファイトを見守った9467人の観衆は、大きな拍手を送り続けていた。
アメリカ代表戦。
前半6分、ジャパンが敵陣22メートル内で左へ素早く展開し、WTB藤田慶和がゴールラインを越えて先制した。
しかし、連戦による疲労の色はジャパン選手からハッキリ見てとれ15分、20分と相手にトライを許してしまう。
そんな重苦しい雰囲気のなか、CTBマレ・サウが流れを変えた。24分、かつてオールブラックスを目指したこともある世界クラスのミッドフィールダーは、右隅ゴール前で3人に捕まりながら、粘り腰で前進し、インゴールにグラウンディングした。12−12の同点。
その後、アメリカにペナルティゴールを決められたものの、37分にジャパンFWが前進して22メートル内に入ると、FLヘンドリック・ツイがすばやいピックアップから一直線にゴールまで走り、前半を19−15で終えた。
「ディフェンスのスペーシングを修正すること」「ブレイクダウンでは田中をもっとプロテクトしよう」「ボールキープ」「疲れを闘争心で乗り越えよう」…。ハーフタイムに指揮官のアドバイスを受けた日本代表は、活力を取り戻した。
後半3分、ジャパンは敵陣22メートル付近のラインアウトから右へ展開し、主将のWTB廣瀬俊朗がトライ。12分にはスクラムでアメリカを苦しめ、ペナルティトライをものにした。21分には田中がゴール前密集から持ち出して鋭く切り込み、計6トライ38得点。
日本代表は、今年のPNCを2勝2敗(勝点9)の4位で終えた。初参戦のアメリカ代表は0勝4敗(勝点1)で最下位。そして、栄冠を手にしたのはフィジー代表だった。最終戦でライバルのトンガ代表を下し、3勝1敗(勝点16)で初優勝。カナダ代表は3勝0敗で優勝に王手をかけていたものの、19日の最終戦で日本に敗れたため、勝点13で2位。2勝2敗(勝点10)のトンガ代表が3位となった。
■エディー・ジョーンズHC コメント
前半はあまりよくなかったが、後半はいいプレーができた。廣瀬キャプテンがよくチームをまとめてくれたおかげ。23人中22人が9日間で3試合を戦ったが、選手たちもよくやってくれた。(攻撃に)もう少しシャープさがあれば、もっとトライを取れた。
(スクラムトライを奪ったシーンは)自分だったら3点(PG)を狙いにいったと思う。選択した、彼らの自信におめでとうといいたい。キンちゃん(大野)は70テストも経験している経験を持っているが、アジアとの対戦以外で、こんなシーンは初めて見たと言っていた(笑)。
フミ(田中)は、チームに強い気持ちをもたらした。彼は誰より、絶対に勝ちたいという気持ちを持っている。ゴールキッカーのもとにもすぐに走っていく。それもその気持ちの表れ。彼がチームにいる価値は大きい。
■廣瀬俊朗キャプテン コメント
タイトな中で3連勝できた。もっとタフになってトップ10に入りたい。
(スクラムトライのシーン、あの決断は)僕がそこに行った頃には決まっていた。あのトライは、今後に大きな影響を与えてくれると思う。決断したみんなの勇気を評価したい。