各国代表 2013.05.25

エンジンのかかり遅すぎたジャパン 組織力増したトンガ倒せず

エンジンのかかり遅すぎたジャパン 組織力増したトンガ倒せず


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アグレッシブに動いた日本代表FLヘンドリック・ツイ
(撮影:松本かおり)


 



 ボールを大きく動かすのがジャパンウェイだからこそ、狭いエリア、ブレイクダウンでのやり合いが生命線である。
 ジャパンは前半に何度もターンオーバーを許し、失点を繰り返した。後半、その数は減ったものの、勝負所でボールを失い続ける。差を詰められない。結局一度もリードを奪えないままフルタイムのホイッスルを聞いた。
 パシフィック・ネーションズカップの初戦、日本×トンガは、27-17でトンガが快勝した。



 前半5分、トンガはジャパン陣中央やや右のスクラムから右へ8-9で展開し、WTBウィル・ヘルが前進。最後は左に大きくボールを動かし、WTBフェトゥ・ヴァイニコロが先制トライを奪う。日本は12分に相手キックをキャッチしてカウンターアタックを試みるも、タックルを受けてボールを失い、またもインゴールにボールを運ばれた(0-12)。



 ジャパンはモールに強味を見せた。前半20分、PKからラインアウトを選択してモールを組む。トンガの固まりを割り、トライラインを突破。そこに持ち込めば、何度でも行けそうだった。しかし防御で粘れないから、思うように好機も訪れない。逆に36分には連続攻撃から攻めきられ、前半を5-22と支配された。



 後半開始直後には相手のミスしたボールを受け、自陣深くから攻め切ったジャパン。タッチライン際を攻め上がったボールを大きく、素速く動かし、SO小野晃征のラインブレイクからFLマイケル・ブロードハースト、NO8菊谷崇、CTBマレ・サウとつないだ見事なアタックだった。前半とは違った動きに期待は高まったが…直後に失点し、そのまま勢いに乗れなかった。



 キックオフのボールを失い、3分後にトライを許すと、後半2つめのトライを奪ったのは後半20分過ぎだ。その後は相手のスローダウンにペースアップできず、最後まで勝負所でのミスを繰り返す。静かなノーサイドを迎えた。



 試合後の会見を「残念でした」の言葉で切り出したエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「アジア五カ国対抗のときと同じ感覚でラグビーをしてしまった。トンガは攻守とも前へ出て、ジャパンはそれを受けた」と語った。
「キックオフレシーブ、2人目の寄り、コンテストが課題として残りました。そして、トンガも僅かにトライチャンスを逃した場面はありましたが、ジャパンは4度のトライシーンを逃した。後半の選手たちの努力、アグレッシブさは評価できますが残念です」
 進んでいる方向性は間違っていないけれど、レベルアップした相手への対応と、細部へのこだわりが不足していたと総括した。ゲームキャプテンを務めた菊谷も、「エンジンがかかるまでに40分かかってしまった」と対応の遅れを嘆いた。



 対するトンガは、日本の進化を認めながらも、自分たちの勝ちたい気持ちが上回ったと笑顔を見せた。
「勝ちたいと思う気持ちが、自分たちの方が大きかったと思う。ジャパンは、スピード、フィットネスとも上がっている。しっかりとしたゲームをしている。しかし、私たちのディフェンスがよかった」
 ニリ・ラトゥ主将は試合前日、「私たちはもともと一人ひとりが強い。そこに組織力が加わって、すごく防御が安定してきたんだ」と言っていた。それが勝利に結びつき、トレードマークの金歯をキラリと光らせた。


 

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