ジャパン スクラム強化に向けダルマゾスポットコーチが指導
ラグビー日本代表はこの先、環太平洋諸国などとのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)、今季の欧州6カ国対抗を制したウェールズ代表との2連戦を控えている。強豪国との戦いに向け急務とされるのが、スクラムの強化だ。都内などで15日から行われている合宿では、元フランス代表HOのマルク・ダルマゾ スポットコーチが昨秋の欧州遠征時以来2度目の指導にあたっている。
ダルマゾコーチは18日夕方、東京・府中のサントリーグラウンドでFWのユニット練習を指導。複数人のFW同士が低く組み合い、真横に移動したり360度回転する練習に時間を割いた。ここでは、どんな状況でも固いバインドと姿勢を保持キープできるよう徹底した。
練習の合間ごとに、各ポジションごとの姿勢について細部に至るまで助言。LOが前方のPRに腕を巻きつける際は、自身の肩をPRの臀部に密着させ、脇を締め、手の甲を上にしながらPRの衣服を掴むのが良いようだ。
LO大野均(東芝)は「(ダルマゾコーチは)8人で組む一体感、低さを身体で覚え込ませたいんだと思います。LOとしても、バインドの仕方を変えただけでも大分、低く組める」と分析し、この合宿で初めて同コーチの指導を受けたHO湯原祐希(東芝)は「重心のかけ方など、細かいところまで…。組み方もちょっと違うとブレイク(一旦停止)をかけられて、またイチから教えてくれる」と振り返った。
欧州遠征ではテストマッチ2連勝も、スクラムからクリーンボールが出る(相手に押されずスムーズな自軍ボールが出る)確率が10パーセント台に終わった。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)は「まったく了承できない」とし、FWの8人が低い位置でまとまる組み方を極めたいと話す。前年度まではおもに薫田真広・前アシスタントコーチ(現 日本代表戦略室長)がこの分野に着手も、今春は指揮官自らスクラム練習を指導。この日はダルマゾスポットコーチと指導の進捗状況を共有し、「ゆっくりだが良くなってきています」と口にした。
「新しい車を作るイメージ。いまは部品を組み立てていて、まだ4速(ギア)は入っていないです。それには2015年にはなっているはずです。アジア5カ国対抗で言えば、去年はクリーンボールの確率が52パーセント、今年は85パーセントでした。この先の道のりは長いですが、徐々に伸びていきたいです」
チームは25日のトンガ代表との初戦(神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)からPNCに参戦(〜6月23日)。期間中の6月8、15日にはウェールズ代表と対戦する(それぞれ大阪・近鉄花園ラグビー場、東京・秩父宮ラグビー場)。この日の練習後、ダルマゾコーチは「(取材は)できれば最初の試合が終わってからにして欲しい」と言い残した。
(文・向風見也)