苦戦続くストーマーズ それでもファンは熱視線おくる
2010年にスーパーラグビー準優勝、その後2年連続で南アフリカ・カンファレンスを制し、今年こそ悲願の南半球タイトル獲得に燃えるストーマーズですが、5月17日のレベルズ戦にも敗れて4勝7敗(勝点30)となり、上位6チームによるプレーオフトーナメント進出へ赤信号が点滅し始めました。
主将のFLスカルク・バーガーは細菌性髄膜炎という感染症にかかり復帰の見通しが立たず、新加入のFBヤコ・タウタは4月上旬のチーターズ戦で右膝前十字靭帯を断裂し、今季絶望。同じく南ア代表のLOエベン・エツベスは足首負傷で出遅れ、新しい司令塔として期待されたエルトン・ヤンチースや3列のデュアン・フェルミューレンなど、主力に故障者が相次いだのも低迷の原因でしょう。
イライラが溜まっていたのか、4月26日のハリケーンズ戦で、ストーマーズのマネジメントメンバーがアシスタントレフリーに暴言を吐くという問題行動がありました。審判団に対して侮辱的で攻撃的な行動をとったとして、大会を統括するSANZAR(南ア、ニュージーランド、オーストラリアの連合組織)から22万8000ランド(約250万円)の罰金を科されたストーマーズ。当然、全面的に謝罪することとなりました。
負けが込んだ上にスタッフが冷静さを失い、もしかしたら、一部には愛想を尽かしてしまったファンもいるかもしれませんが、今季のストーマーズには昨年以上の熱視線が注がれているのは事実です。
リサーチ会社の『Repucom Africa』が今年4月下旬に発表したスーパーラグビーのテレビ視聴調査によれば、トップ10のうち6試合がストーマーズ関連の試合でした。有料の衛星放送でありながら、3月23日の「ストーマーズ対ブランビーズ」戦を視た数は89万5574世帯(HD視聴者やスポーツバーなどでのテレビ観戦者は含まれていない)。4月13日に行われた「ストーマーズ対シャークス」戦の占有率は19.5%と高数字を記録しています。
南アフリカにおけるスーパーラグビー全体の1試合平均視聴者数は昨年よりも6.2%上昇しており、南ア勢のホームゲームだと18.2%もアップしているそうです。4歳から14歳の視聴者は9%から13%に増え、女性視聴者が35%から42%に上がったことも南アラグビー界の発展ぶりを物語っています。
視聴者の割合は、新規参入したサザン・キングスのホーム、東ケープ州で前年の8.4%から12.1%に増えたのはうなずけますが、さすがラグビーマッド地帯の西ケープ州(ストーマーズの本拠地)は全体の3分の1を占めており、昨年の29%から34%に増大しています。
だからこそ、歯ぎしりが聞こえてきそうな気もしますが、あきらめるのは早すぎる。ミラクル劇へ、今季レギュラーシーズンは5試合残っています。
はたして、ストーマーズは熱狂的なファンとともに、今年こそ優勝パレードをできるでしょうか?
(写真:必死に前進するハバナ。ストーマーズでのラストシーズンに優勝狙うが…/撮影:Yasu Takahashi)