イーリが語るメンタルの重要性。「日本でもサポートが普通になるように」
『個人でニュージーランドのスポーツ精神科を使っています。トップリーグの全てのチームに存在するべきだと思います』
国立精神・神経医療研究センターは2月4日、トップリーガーを対象としたメンタルヘルス(心の健康)に関するアンケート調査の結果を公表した。
調査によってアンケートに回答した2.4人に1人(42・3㌫)が、何らかの原因で心の健康に不調をきたしていたことが明らかになった。これは一般成人の31・3㌫と比較して10ポイント以上高く、ラグビー選手も一般人と同様に、心の健康において課題を経験していることを示している。
Twitter上では調査結果のプレスリリースを引用する形で、堀江翔太が過去に経験した精神的苦痛を明かすなど、多くのトップリーガーがこの調査結果に共感し、反応した。
三菱重工相模原のイーリ ニコラスもその一人。
冒頭の言葉はイーリがツイートしたものだ。
イーリは昨年8月から本格的にメンタルのサポートを受けている。月に1度1時間ほどZoomで対話をしているという。
対話の相手は、父・マークさんの友人でクルセイダーズや2011年のオールブラックスのメンタルコーチを務めたレンジ―・ハンハムさん。イーリのチームメイト(神戸製鋼)だったダン・カーターやアンドリュー・エリス、現チームメイトのコリン・スレイドも過去に利用したことがあるメンタルコーチだ。
「まずはコロナの中でいろんな不安もあったし、その気持ちをどうやってコントロールするか、戦っていくためにどういった対策を立てるかを相談しました」
取材をした2月18日(トップリーグ開幕2日前)も、ちょうどハンハムコーチと対話をしていた。
「今ちょっと小さいケガをしていて、やっぱりケガをしてしまうと、『年かなあ』という考えになってしまう(現在、32歳)。なのでそういう考えに対して、どうやって正しく向き合うか、そういう考えにならないためにどう対策するかを話してました」
メンタルの調子はパフォーマンスにも影響する。「ラグビーでストレスを感じるのは普通だよと。おかしいことではないし、サポートを受けるのも普通だよと。そう伝えていくことが大事」とイーリは話す。
「ラグビー選手は、見ている人(ファン)の期待が大きい。もちろん良いパフォーマンスをしないといけないというのもあるし、見た目も大きくて強く見えるから、メンタルも強くないとダメというイメージもある。そういった期待を気にしないで、どうやってパフォーマンスに集中するか、集中し直すかを知る必要がある」
「期待を考え過ぎると、自分のやるべきことからズレてしまう。それでパフォーマンスは低下する。堀江さんは3チームのキャプテン(サンウルブズ、日本代表、パナソニック)をしていた時が一番辛かったとTwitterで言っていましたが、それも期待が大きかったからだと思います」