イーリが語るメンタルの重要性。「日本でもサポートが普通になるように」
イーリは試合中にしたミスをあとに引きずらないように、メンタルを整えるテクニックを実践している。
「僕は呼吸法を教えてもらいました。舌を口の下に置いて呼吸すると、体がリラックスすることが科学的に証明されている。それで頭を整えて、自分の次の仕事に集中できる。こうしたミスした過去のことやその後の結果のことなど、ズレたところから自分を『現在』、『現地点』に戻す方法(今自分がやるべきことに集中する方法)はいろいろあります。ダン・カーターであれば、スタジアムの看板広告の小さいポイント(AIGならAだけ、など)を見つめて、『自分は今スタジアムにいる』と思って『現在』に戻るそうです」
こうした考えのズレによって起こるパフォーマンスの低下は、日本の教育でもよく見られる。セカンドキャリアとしてコーチを考えているイーリは、ハンハムコーチに心理学のことも教えてもらっているという。
「人がどうやってベストな状態になれるか、そこでコーチとしてはどういう言葉を使えばいいかを学んでいます。日本にはミスしたら怒る教え方がある。そうすると、子どもたちは達成するために考えるというより、怒られたくないから頑張ることになってしまう。結果とか前のミスを考えてしまうより、どうやって達成するかを考えた方がパフォーマンスも上がるし、子どもたちもできるようになると思う」
ニュージーランドでは、こうしたメンタルへの理解、そしてサポートが当たり前になってきている。
「ニュージーランドでは、使うか使わないかは選手次第だけど、プロのチームであればだいたいメンタルトレーナーがいる。日本ではまだまだだけど、こないだの調査結果で選手たちがようやく発信するようになった。次のステップは、『助ける』という言い方、イメージを変えていくこと。『助ける』というとどこかが悪いみたいになる」
「筋トレは体に負荷がかかる。それをサポートするためにはプロテイン飲んだり、休憩したり、ストレッチしたりという方法がある。メンタルも負荷をかけた時は同じようにサポートが大事。筋トレにフォームがあるように、メンタルにもテクニックや正しいやり方がある」
日本でもメンタルサポートが当たり前になるように願うイーリは、2月27日の宗像サニックス戦でダイナボアーズデビューを果たす。
〈2月26日発売のラグビーマガジン4月号では、「Let’s vote! Say opinion.」のコーナーで『求む!メンタルヘルスの理解と実態』を特集しています。そちらも合わせてご覧ください。〉