簡略化が奏功した神戸製鋼 PO初戦で昨季王者サントリーと対戦
故障から復活した神戸製鋼CTBジャック・フーリー
(撮影:BBM)
日本最高峰ラグビートップリーグ(TL)は19日、同上位4強でのプレーオフ(PO)が開幕。リーグ戦4位通過の神戸製鋼は、同日の準決勝で昨季王者のサントリーと対戦する(東京・秩父宮ラグビー場)。今季はシンプルな法則のもと好調を維持してきた。キーマンも復帰するとあって、充実した状態で本番に臨む。
就任3季目の苑田右二ヘッドコーチ(HC)は、一貫して「MOVING RUGBY」を提唱。相手のスペースを端的に突く攻めを目指してきた。今季はスタイルを貫くための決めごとをより簡略化し、試合での選手間の迷いを最小限に止めた。前年度まで東芝で選手、コーチとして活躍したニコラス・ホルテンFWコーチは、肉弾戦でのサポートの速さやスキルを細かく指導。現体制下で初の4強入りに貢献した。
サントリーには1月6日の直接対決で29−43と敗戦(兵庫・ホームズスタジアム神戸)。自陣から果敢に攻める相手を向こうに、チームの守りがやや破綻したか。「(POでは)15人が自分たちの約束事をどれだけ守れるか」と指揮官。リーグ戦全13節終了後、こんな話もしていた。
「(再戦までの短期間では)スキルやフィジカルのプラスアルファは限られてくる。メンタルの面が大事になってくると思います。どれだけファイティングスピリッツを持った選手がグラウンドに立てるか。そういう視点でのメンバー選考をしたいです」
シーズン終盤は負傷で欠場のCTBジャック・フーリーが、POから復帰する。南アフリカ代表として69キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を取得したランナーは、今季加入したチームでもリーグ4位の13トライをマーク。「常に大きな声でコミュニケーションを取るようにしています」。空いたスペースを見つけるや、ボールを持つ仲間の名前を大声で叫びパスを呼び込む。苑田HCにも「コミュニケーション能力が高く、常に声を出してくれる。明るい人間で、チームに推進力を与える」と評価される。昨季王者を相手に、どんな働きを示すか。
(文・向風見也)