ブレディスローカップ第1戦は死闘引き分け NZ・豪州とも88分超のライバル対決譲らず
約90年の歴史を持つ「ブレディスローカップ」は、伝統試合にふさわしい白熱の戦いとなった。
10月11日にウェリントン(ニュージーランド)のスカイスタジアムで、ニュージーランド代表“オールブラックス”とオーストラリア代表“ワラビーズ”が激突。長年のライバル同士は88分を超える死闘を繰り広げ、16-16の同点でノーサイドの笛を聞いた。
新型コロナウイルスによる混乱を乗り越えて、ラグビーのナショナルチーム同士が対戦する国際試合の再開。両チームとも昨年のワールドカップを終えて、新しい指揮官のもとで臨む最初のテストマッチだった。2023年の大舞台へ向けての新たなスタートでもある。
先制したのはニュージーランドだった。前半9分、負傷のボーデン・バレットに代わって背番号15をつけたダミアン・マッケンジーのカウンターから始まって次々と速いテンポでボールを動かし、WTBジョーディー・バレットが右隅に最初のトライを挙げた。
右膝の前十字靭帯断裂からカムバックして2年ぶりの代表復帰となったマッケンジーは守りでも奮闘。21分にオーストラリアがゴールに迫ったが、ブレイクダウンでボールに絡んだマッケンジーがターンオーバーし、ニュージーランドはピンチを脱出した。
その後、互いにPGを決め、8-3で迎えた前半最後の攻防、オーストラリアのパスが乱れ、ニュージーランドは自陣からのカウンターでボールをつなぐ。そして、鮮やかなチームアタックをCTBリーコ・イオアネがフィニッシュした、かと思われたが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)により、イオアネはグラウンディングの際にボールをコントロールできていなかった(落球していた)ことが確認され、ノートライ。5点差でハーフタイムとなった。
いやな流れで後半に入ったニュージーランドだが、44分(後半4分)、ラインアウトからのサインプレーが決まってWTBジョージ・ブリッジが抜け出し、サポートについていたSHアーロン・スミスがディフェンダーを振り切ってトライを決めた。
一方、10点差を追うオーストラリアは52分、SOジェームズ・オコナーがランでディフェンスをひきつけたあとWTBマリカ・コロインベテにパスし、スペースができたところへゴールドジャージーの11番が弾丸となって左隅にフィニッシュし、5点を奪い返した。
勢いに乗ったオーストラリアは62分にも敵陣深くに入り、ブレイクダウンでこぼれたボールにすばやく反応したSHニック・ホワイトが初キャップのWTBフィリポ・ダウングヌにつなぎ、同点トライが生まれた。
雨風で難しいコンディションのなか、ニュージーランドは72分にPGチャンスを得たが、キッカーを務めたジョーディー・バレットの40メートルショットは失敗。
逆にオーストラリアは74分、相手の反則でめぐってきたPGをオコナーが確実に決め、勝ち越した。
しかし、ホームで負けられないニュージーランドは試合終了間際の79分、敵陣深くのモール攻撃でアドバンテージを得、プレーが止まったあとショットを選択。ジョーディー・バレットが今度はしっかり決め、16-16の同点となった。
だが、ドラマはこれで終わらなかった。
リスタート後、ハーフウェイの攻防でニュージーランドが反則を犯す。時計は80分を過ぎており、自陣にいたオーストラリアはPGを選択。約55メートル先のゴールポストを狙ったCTBリース・ホッジのキックは、距離は十分だったが、右ポストに跳ね返された……。
だが、そのボールをニュージーランドは確保できず、ゴール前でチャンスとなったオーストラリア。それでも、ニュージーランドが必死に守ってボールを奪い返し、逆に自陣深くから攻めた。
意地とプライドをかけたライバル対決。両チームは勝ちにこだわり、白熱のターンオーバーが何度も続き、時間は88分を過ぎた。そして最後、ニュージーランドがゴールに迫ったがオーストラリアは耐え、ターンオーバー。インゴールでボールをもらったオコナーはタッチライン外に蹴りだし、死闘は16-16の同点でノーサイドとなった。
第2戦は10月18日、オークランド(ニュージーランド)のイーデンパークでおこなわれる。