昇格はないが3部優勝だ。新・都立大ラグビー部チーム練習再開
9月24日午前10時、新・東京都立大ラグビーグラウンド。部員たちの笑顔があふれていた。
前日の23日、ラグビー部は、コロナ感染拡大の自粛期間を経てチーム練習を再開したばかり。3月に自粛を始めて以来、半年。その間、大学名は首都大学東京から都立大へ変更された。大学と交渉して一度にグラウンドに集まる人数制限など基準を守りつつのリスタートとなった。
この日は、台風12号の首都圏上陸、暴風雨も懸念された。グラウンドがある東京八王子市は朝から曇り空に覆われていたが練習終りに雨が少し降っただけ。
練習開始前、部員たちはFWがラインアウト、BKはパス回しを自分たちで行っていた。10時に開始。今季ヘッドコーチ(HC)に就任した早大OB藤森啓介氏(35歳)の指示の前にマネージャーが声をかける。「4人一組のグループに分かれて伝言ゲームをします」。
まずはコミュニケーション作りか。ゲームを始めると自然と笑い声になる。
続いて藤森HCが指示しパスの練習。ここでは「ゴールはトライ。トライするために何が必要か」と部員たちにといかける。ラグビーをする基本となるのはフィットネス。自粛期間中に個々で取り組んできた成果が試される。「各自、目標をしっかり立ててやっていましたので、ブランクをありますがトレーニングしていけば十分に戻る」とHCは信頼を置く。
練習を終えると部員たちは3〜4人ずつのグループになり「今の練習でできたこと、改善点」を積極的に話し合う。みんなが集まった円陣では一人の部員が、まとめた話を伝える。意思の共有を確実にしていた。
さらに半分に分かれてのアタック・ディフェンスなど動きは密になっていく。ここでもチームトーキングは必須だ。藤森HCは「練習のゴール設定をしっかり理解した上で、そのトレーニングを一人ではなくて3人とか4人とかで共有することで他者の意見も受け入れられて自分との違いを認識でき、他者に合わせていく」と話す。
3人のアタックを左サイドのタッチラインに追い込む2人のディフェンス練習ではHCが自らコース取りを丁寧に見せる。ボールキャリーへのダブルタックルがうまくいくとHCから褒め言葉がかかる。
部は、自粛期間中、ZOOMシステムを利用して課題を出して少人数のグループミーティング、全体会合での発表を続けてきた。学年、選手、マネージャーを区別せずにグループ化した。主将HO福原大毅は「インプットの部分が多い。ミーティングで戦術理解ができた。ラグビー偏差値も上がってきた」と評価する。
再開後に向けてのコロナ対策などに取り組んできたマネージャー3年生西山真奈美さんもこう話す。「学年、役割関係なくコミュニケーションを取れるようになった」。コロナで落ち込んでいない「これから上げていきます」と自信を持つ。
都立大が所属する関東大学リーグ戦3部。今年度は2部との昇格・入替戦は行われない。8チームを2つに分けて対戦し順位決定戦を行う。初戦、都立大は11月8日に東京工業大と戦う。15日が駿河台大、22日国際武道大。そして12月に順位決定戦だ。
リーグ戦までにアタック、ディフェンスとも強度なものを落とし込むと藤森HCは言う。
「都立大は2部に上がったことがなかった。今年は歴史を変えようと話していました」と残念な福原主将。それでも目標は「(自粛でたまった)フラストレーションを爆発させて3部で優勝する」。