コラム 2020.08.21

ラグビー金言【23】何かひとつ光るものを持つ選手を探し、その選手に合ったことをやる。

[ 編集部 ]
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ラグビー金言【23】何かひとつ光るものを持つ選手を探し、その選手に合ったことをやる。
長くチームを切り盛りしてきた経験がな本代表でも生きている。(撮影/松本かおり)



 昨年のワールドカップで8強に躍進した日本代表。多くの人がチームを支えた中で、この人も重要な役割を果たした。
 ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの良き理解者で、選手たちの内面のサポートも。2023年の大会に向けても、強化委員長の役割を果たす。

 いまチームで起こっていることに気づき、それを解決する能力は、宗像サニックスブルースで長く監督を務めてきた経験があるからだろう。
 決して恵まれた戦力とはいえないチームを、リーグの中で存在感ある集団に育て上げた。2009年度、2010年度には、それぞれ7位、8位と、中位に引き上げた。

 一般でない、独特なスタイルで戦っていた宗像サニックスを率いていた時代の言葉には信念がある。

【藤井雄一郎の金言】

「でかくて、はやくて、うまい選手は、もちろんきてほしいですよ。でも、強豪チームのリクルーターも、まず選手名鑑のサイズを見て、先にアプローチするからうちには来ない。それだったら、そんな選手のうしろに隠れているような、あと10センチあったらジャパン…というような、なにかひとつ光るものをもっている選手を探し、その選手に合ったラグビーをやった方がいいと思っています」

「体が大きく、速く、うまいという選手は、もともと日本にはそんなに多くはいないと考えました。でも、『小さいけどそこそこやるな』という選手はあちこちにいる。うちは、そういう選手で戦い、体が大きくないとできないプレーは外国人選手に任せようと考えました」

「勝つことを考えたら、セットプレーに力を入れて強化し、モールでトライを取るのがコーチしやすい。計算できますから。その一方でワイドに展開しよう、スペースにボールを運ぼうというスタイルは、コーチも選手も、『で、動かすのはいいけど、どうやってトライするの?』となる。イメージしにくいんですよね。でも、ほとんどのチームがセットプレーやブレイクダウン重視のラグビーをやるなら、うちは他と違う路線でいかないと太刀打ちできない」

 天理高校出身。卒業後は名城大学に進学し、一度は働いた後、西日本社会人リーグのニコニコドー、サニックスでプレーした。
「いつも工夫しなければいけないチームにいたことが(指導方針の)原点。体に染みついています」


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