その他 2020.07.22

子供たちの未来をより豊かに。ラグビー界が推進した「スポーツを止めるな」活動の法人が誕生

[ 多羅正崇 ]
子供たちの未来をより豊かに。ラグビー界が推進した「スポーツを止めるな」活動の法人が誕生
一般社団法人「スポーツを止めるな」で代表理事を務める野澤武史氏さん

 コロナ禍でアピール機会を失った高校生ラガーを救うSNSプロジェクト『#ラグビーを止めるな2020』の発起人で、解説者としてもお馴染みの元日本代表・野澤武史氏が、7月20日、一般社団法人「スポーツを止めるな」の設立を発表した。2人いる共同代表理事は元日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏と、元慶応大学コーチの最上紘太氏だ。

『#ラグビーを止めるな2020』は学生ラガーに自身のプレー動画をSNS(Twitter、Instagram)に投稿してもらい、進路開拓に繋げる取り組み。ラグビー界が中心となって推進し、『スポーツを止めるな』としてスポーツ界全体に発展するムーブメントとなった。

 一般社団法人「スポーツを止めるな」は、このムーブメントを一過性のもので終わらせず、より拡大、発展させるための推進母体として設立された。野澤氏は「活動を続けていくうちに、競技の壁を超えて共通の課題があることが分かってきました」と言い、横断的な組織の必要性も感じていた。

 今後は、画期的なシステムの開発に着手する。

 ラグビー界では活発だった動画投稿だが、他競技ではそもそもSNS禁止を掲げる学校、チームも多かった。そこで「スポーツを止めるな」では、選手側とリクルート側がクローズドで安全な環境で情報交換ができる会員制サイトを開発する。住んでいる地域や通う学校などに左右されず、次のステージに挑戦する機会が公平に与えられることを狙う。

 子供達には、ぜひ自分でプレー動画を作成してほしい。自身のプレー動画を作成するためには、まず自身の強み、弱みを客観的に把握する必要がある。野澤氏は動画作成の教育的価値に注目している。

「『#ラグビーを止めるな2020』の活動を通じて、動画をアップロードすることはセルフプロデュース、キャリア教育になると感じました」(野澤氏)

 その一方で、ソーシャルメディアのリテラシー教育も行っていく。

「『危ないから車を運転しないように』と教えるのではなくて、その道具のリターンと、リスクを学び、正しく使えるようにする。そうした『現代を生きる力をつける教育』事業にも注力していきます」(野澤氏)

 また「スポーツを止めるな」では、「青春の宝」プロジェクトというプレゼント企画も行う。

 コロナ禍で大会が中止となり、仲間との努力をお披露目する場を失った学生達の「思い出の試合」に、トップ選手による本格的な解説、スポーツアナウンサーの実況を付けてプレゼント。選手はもちろん、その家族にも競技をずっと好きでいてほしい、という想いを込めた企画だ。

 記念すべき第1回の「青春の宝」企画は、石巻工業と佐沼高校(ともに宮城)の一戦に、五郎丸歩と野澤氏が解説を付けた。トップリーグ選手会と連携しており、今後も解説にトップリーガーを招く予定だ。

 こうしたサービス、企画の利用は無料。活動資金は個人と法人の支援で賄っていく予定だ。

『#ラグビーを止めるな2020』が推進したムーブメントをさらに発展させ、子供達の未来をより明るく照らし、守りたい。

「『スポーツを止めるな』のメンバーは『今やらなくていつやるの?私がやらなくて誰がやるの?』という闘志に燃えています」(野澤氏)

このような時代だからこそ、子供達への責任を果たしていく覚悟だ。

※「青春の宝」企画の募集要項詳細は7月27日に、一般社団法人スポーツを止めるな公式サイトに掲載予定。
※他競技の募集については追ってお知らせします。

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