クーパーはラグビーユニオンに残る! 豪州協会と新たに2年契約
ラグビーグラウンドにクウェイド・クーパーの笑顔が戻ってくる
(撮影:Yasu Takahashi / Nichigo Press)
対立していたクウェイド・クーパーとオーストラリアラグビー協会(ARU)がようやく和解した。ARUは12月7日、オーストラリア代表として38キャップを持つレッズの司令塔、クーパーと、新たに2年契約を結んだと発表した。地元メディアの『FOX SPORTS』などは、年俸80万豪ドル(約7000万円)以上と報じている。24歳のファンタジスタは、今年6月に所属チームのレッズと3年契約で更改したものの、ARUとの交渉は難航していた。これで、噂されていたラグビーリーグ(13人制)への転向はしばらくなくなり、少なくとも2014年末までは同国内でのラグビーユニオンに専念できる。
2011年ワールドカップの3位決定戦で右膝に重傷を負い、約7カ月間のリハビリを経てグラウンドに戻ってきた。しかし、全盛期のプレーを取り戻すことができず、不満が溜まっていたクーパーは今年9月、ツイッターやテレビ番組でロビー・ディーンズ代表ヘッドコーチやワラビーズ、そしてARUを批判。「代表チームの保守的なプレースタイルは退屈で、ファン離れを引き起こしている」「思っていることがあっても誰も発言しない。誰かが指摘するのを期待している、非常に不愉快な環境だ。私はそんな毒された空気のなかにはいたくない」などと発言し、物議をかもしていた。
そして10月31日に聴き取り調査が行われ、ARUが求める行動規範を破ったとして4万豪ドル(約330万円)の罰金が科される。本人も反省の弁と復活への前向きな発言をしたため、関係は修復されたかに思われた。が、数日後に行われた来季への契約交渉で、ARUはクーパーに対し、ルーキー並み扱いともいえる出来高払いのインセンティブ契約を提示。「受け入れがたい」と怒りを露わにしたクーパーが、親友のソニービル・ウィリアムズを追ってラグビーリーグに転向するのは時間の問題と思われていた。
しかし、天才的フットボーラーを失ってはならぬと、レッズのチェアマンなどがARUへ密接に働きかけ、話し合いを再開。コミュニケーション不足が解消された両者は歩み寄り、最終的に握手をすることとなった。
なお、クーパーは来年2月8日、レッズの2013スパーラグビー開幕戦が行われる8日前に、ブリスベンでボクシングのチャリティーマッチを計画しているが、予定通りリングに上がるものと思われる。
彼のボクシングデビューにも注目は集まるが、来年はオーストラリアラグビー界にとっても大事な年。4年に一度結成される北半球のドリームチーム、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズが6月にオーストラリアへ遠征することになっており、SOクーパーは心機一転、来シーズンでの復活に燃える。