セブンズ 2020.02.04

サクラセブンズは東京五輪へ向け着実に成長中 シドニーでは10代も躍動

[ 出村謙知 ]
サクラセブンズは東京五輪へ向け着実に成長中 シドニーでは10代も躍動
10代の若手が躍動したサクラセブンズ。写真中央左から香川、永田、弘津(撮影:出村謙知)


 サクラセブンズ(女子セブンズ日本代表)にとって、今季3度目のワールドラグビーセブンズシリーズ参戦だったシドニー大会。
 目標だったベスト8入りこそ、あと一歩のところで逃したものの、6ヶ月後に控える東京五輪に向けて正しい道を進んでいることを確認できた貴重な世界トップ国との対戦の場となった。
 チームに勢いを与えたのは、いずれも10代で、かつ身長が160センチ台後半と日本女子の中ではサイズもある若手選手たちの前に出る力だった。

 プール戦最初の試合で当たったのはニュージーランド。
 サクラセブンズとしては、3大会連続となる初戦での女王との対戦だったが、昨年10月のグレンデールで7-40、同12月のドバイでは0-48と大差で敗れていたトップチームに対して、前半を0-0で折り返す健闘ぶりを見せた。
 残念ながら、後半は地力の差を見せつけられるかたちで4トライを許して0-28での敗戦となったが、「ディフェンスは若いメンバーもニュージーランド相手に攻め込まれてもよく粘れた」と稲田仁ヘッドコーチが語ったとおり、守りの面での進歩を感じさせた。

 このニュージーランドとの初戦では、香川 メレ優愛ハヴィリ(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA=熊谷女子高3年)、弘津悠(SCIX ラグビークラブ=早稲田大1年)、永田花菜(日本体育大ラグビー部女子1年)という10代の3選手が先発出場。
 しかも、3人揃って残り3試合でもスターティングの座を守り続けるなど、いずれもがすでにサクラセブンズに欠かせない一員となっていることを印象付ける活躍ぶりを見せた。

 「タテに行く強さとスピードの両方。コンタクトで負けずにボールを絶対に出すこと」が自分の強みだという18歳の香川は続くイングランド戦ではトライも記録するなど「ドバイよりも自分の強みを生かせる手応えを感じた」と自己評価。

 19歳の弘津は「体を張るということでチームを勢いづけられた。強い気持ちで絶対止めると思っていけば、けっこう止められるというのがわかった」と主にディフェンス面での貢献を強調したが、33-17で快勝したスペイン戦でのトライもあり、アタックでもチームの核となり、世界レベルでも十分通用するところを垣間見せた。

 今季もコアチームとしてワールドシリーズを転戦することはできず、招待チームとして臨んだシドニー大会が世界トップ国と戦える貴重な機会であることは間違いなかったが、今回の選手起用に関して「若手に経験を積まそうという意図はない」と稲田HCは断言。
 つまり、「3人の中では一番経験がある。(今回はケガのため遠征メンバーから外れた)平野(優芽)と同じポジション。今回の経験を生かして、ライバルとしてお互いにレベルアップしてくれるといい」(同HC)という永田も含め、高校3年生~大学1年生の3人に関しても実力でシドニーの大舞台で長い時間プレーする権利を勝ち取ったということになる。

 前述のニュージーランドに続いてイングランド戦でも前半、7割を超えるポゼッションで互角以上の内容で戦いながら後半引き離される(5-26)内容で敗れた後、2日目のロシア戦では終了1分前の中村知春の逆転トライで勝利をつかんだかに見えたが、ロスタイムに同点トライと勝ち越しゴールを決められて悔しい敗戦(12-14)。
 それでも、最終戦となったスペイン戦では、グレンデール大会では5位だった相手を終始圧倒して、33ー17で快勝を収めて有終の美を飾った。

「しっかり切り替えられたのは、チームとしてはよかった。若手が伸び伸びプレーしていて、吸収能力も高い。上の選手たちもしっかり引っ張っていってくれているし、もともと仲は良かったが、さらにまとまりが良くなっている」
 今大会、主将を務め、スペイン戦では開始1分、2分に連続トライを奪って勝利への直接的な貢献にも成功した堤ほの花がそう総括したとおり、著しい若手の活躍がチーム全体の成長につながっている好循環を感じさせた、猛暑の南半球での戦いとなった。

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