国内 2019.12.31

昨季王者・明大の片倉康瑛、事前分析とその場の嗅覚で制空権握る。

[ 向 風見也 ]
昨季王者・明大の片倉康瑛、事前分析とその場の嗅覚で制空権握る。
写真中央が明治大の片倉康瑛。大学選手権準々決勝の関西学院大戦から(撮影:高塩隆)


 大学選手権の準決勝が1月2日、東京・秩父宮ラグビー場であり、昨季王者の明大は東海大と激突。相手の強みであるセットプレーにどう対処するかが注目される。空中戦のラインアウトの防御では、3年生LOの片倉康瑛が際立つ。

 身長190センチ、体重102キロ。明大中野中で楕円球と出会い、エスカレーター進学を経て2年だった昨季途中からレギュラーに定着。今年3月は20歳以下(U20)日本代表とリンクするジュニア・ジャパンへ入り、フィジー・スバでのパシフィック・チャレンジに参戦。環太平洋諸国の選手と身体をぶつけ合った。U20日本代表が7月にウルグアイで挑んだU20トロフィーには年齢制限の関係で参加できなかったが、国際舞台への思いを強められた。

 鋭いタックルと運動量、何よりスマートなラインアウトワークを持ち味とする。加盟する関東大学対抗戦Aで全勝優勝して迎えたが、片倉は要所で相手ボールのラインアウトを空中でスティールした。

 その強みは、12月21日の秩父宮での大学選手権準々決勝でも活かされる。対する関西学院大が跳躍前に選手をぐるぐると動かすのに対し、明大の背番号4は冷静に捕球の位置とタイミングを見定めていた。

「最初は、(相手が)動いてきて。あ、これ、練習(分析)にないやつだな、と対応できなくて。でも後半から、結局、飛ぶところが同じところだった(と気づいた)。僕が前で(空中で)競って後ろが(箸本)龍雅で…と対応ができた。僕たちが積み上げてきたラインアウトディフェンスで(相手の動きに)ついていけたから、相手がノットストレート(球を真っすぐ投げ入れない反則)をしてくれたところもあったと思います。飛ぶそぶりを見せるだけでも相手にプレッシャーがかかる。それを練習からやってきて、試合に出たと思います」

 この日は、関西大学Aリーグ3位の関西学院大に22-14と苦戦。相手の鋭い出足の防御を前に、攻め込んでのスローフォワード(球を前方に投げる反則)が重なったからだ。しかし片倉は「相手がディフェンスで(一気に間合いを)詰めてくるのに対して、(構造上)外が余るだろうと思ってそこへ(長いパスを)狙いすぎたからだと思います。あそこは、相手が詰められないくらい(中央に立つ)FWが前に出たい」と、問題解決策をその場で提示。14時10分キックオフの直前まで、よりち密な準備を施すだろう。

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