国内
2012.09.16
キヤノン×神戸製鋼 鼻の利く人
パナソニックから神戸製鋼へ移籍し、期待通りの活躍をしている南ア代表CTBジャック・フーリー
(撮影:松本かおり)
世界最高峰級の人は鼻が利く。シーソーゲームだった前半の終了間際、38分。敵陣22メートルエリア中央にある接点の左で球を受けたLO伊藤鐘史に、「ショージ!」と叫ぶ。南アフリカ代表としてトライ数32、今季から神戸製鋼入りのCTBジャック・フーリーだ。折り返しのパスを受けるやゴールラインを越す。「いつも大きな声でコミュニケーションを取る」。複数の攻めのオプションから、最も妥当だったであろう選択を促したのだ。直後のゴール成功もあり、チームのリードを16点に広げた。後半6分も、失点直後のキックオフで味方のキックを追い相手に競り勝った。結局、試合は32−22で制した。
終盤、チームは苦しんだ。今季から昇格し球の争奪戦でひたむきさを見せるキヤノンに対し、ガス欠の感を見せた。「疲れもあった」と某選手も認める。後半21分、7点差に迫られた。2012年9月15日、東京は秩父宮ラグビー場でのトップリーグ第3節終了後。通訳が「ナイスガイ」と謳う好漢のフーリーは、「集中力が切れた時間帯があった。どんな状態でも、自信を持ってやるべき」。自らの嗅覚に基づいた厳しい課題分析も、決して忘れなかった。
(文・向 風見也)