北九州の感動から始まったウェールズのW杯。準決勝敗退も、3位決定戦へ前を向く。
ウォーレン・ガットランド体制で12年間。その集大成として臨んだラグビーワールドカップ2019日本大会で、欧州王者のウェールズ代表はベスト4入りを果たしたものの、初の決勝進出には届かなかった。南アフリカ代表に16-19で敗れた。
「流れるようなラグビーはほとんどなく、ボールを動かそうと思ったが力勝負になった時点で消耗戦だった。その中で戦い続けた選手たちを誇りに思う。少しの幸運とボールのバウンドで結果は違っていたかもしれない」
ガットランド ヘッドコーチは準決勝をそう振り返った。
世界屈指のパワフルなNO8と呼ばれたタウルぺ“トビー”・ファレタウが今夏のトレーニングキャンプ中に鎖骨骨折で離脱。今年のシックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)で5試合中4試合で背番号10をつけ、全勝優勝に貢献していたSOガレス・アンスコムはワールドカップ直前のテストマッチで右膝を壊し、大舞台に立つことはできなかった。そして、献身的なプレーが高く評価されるバックローのジョシュ・ナヴィディが準々決勝でハムストリングを痛めプレーできなくなり、準決勝を控えた水曜日の練習中には欧州トップクラスのフルバックであるリアム・ウィリアムズが足首を負傷し涙をのんだ。
けが人が続出した。しかし、「それは言い訳にならない」と指揮官。スコッド全員を誇りに思う。100%の力を出し尽くした選手たちをねぎらった。そして、南アフリカがすばらしい試合をしたと対戦相手を称えた。
アランウィン・ジョーンズ主将は準決勝敗退に落胆していたが、多くの感銘を受けた日本大会で、まだいい試合をするチャンスはあると前を向く。
「北九州で1万5000人が練習を見に来てくれたことから始まった(大会開幕直前の公開練習にミクニワールドスタジアム北九州を満員にする市民ら約1万5000人が詰めかけ、ウェールズのナショナル・アンセムを大合唱するなどし、ウェールズ代表を感動させていた)。台風もあったが、日本のみなさんは試合を開催しようとがんばってくれた。すばらしい大会だ。今日は勝利には届かなかったが、まだ歴史を塗り替えるチャンスはある。このジャージーを着ることや赤い服を身に着けたスタジアムの人々全員を代表することを誇りに思う」
ウェールズ代表の最終戦は11月1日、東京スタジアムで、ニュージーランド代表“オールブラックス”との3位決定戦だ。
「本当はイングランド代表と(決勝で)対戦したかった。悔しいが、次のオールブラックス戦を楽しみたい」
ガットランド ヘッドコーチは前を向く。ウェールズは勝てば、1987年の第1回大会で記録したチーム最高成績の3位に並ぶ。
「オールブラックスも我々と同じくらい傷ついていると思うが、おたがいリスペクトしあって試合に臨みたい」