【ラグリパWest】「コーリ」の新たな試み。同志社香里高校ラグビー部
転んでも痛みが少ない人工芝の上で、楕円球を追う小学年の歓声が響き渡った。
7月7日。七夕の日曜日。
同志社香里のグラウンドである。梅雨空を縫って、時折、太陽の光が差した。
イベント名は「第1回同志社香里ラグビーカーニバル」。
ほぼ中高一貫校には、高槻や生駒など近隣の10のラグビースクールから約450人が集合した。4〜6年生の高学年の児童だ。
「これだけ集まってもらえてうれしい限り。ラグビースクールは力があるね」
高校の監督である清鶴敏也は満足げ。保護者を含めれば、大阪の北東、寝屋川市にある学校に1000人近くが訪れたことになる。
今年9月で58歳になる清鶴は、高校ラグビー界の重鎮のひとりだ。
冬の全国大会ではシード校を決めるシード委員長。1996、1997年度には高校日本代表の監督もつとめた。
清鶴が日々、指導を施すフルサイズのグラウンドは4面に仕切られる。開会式後の午前9時30分から5時間に渡って、10分ハーフの熱戦が数多く繰り広げられた。
選手たちには、スポーツドリンクとジュースのペットボトル2本、それにうちわが無料で手渡された。熱中症予防である。OB戦など大人の試合は開催されず、すべての時間と場所は子供たちのために供された。
運営に携わったのは、清鶴の教え子ら約50人のOBたち。特注のグレーのTシャツを着る。中心はOB会会長の南野真寛(なんの・まさひろ)だ。
「よその学校はこういうことをやっているんで、4、5年前くらいからみんなでやりたいなあ、と話してはいました」
昨秋、人工芝が張り替えられたことや、この日は期末試験中で、クラブ活動がなかったことなどもあり、実行に踏み切った。
神戸製鋼の林真太郎も母校に姿を見せる。社会人4年目に入ったセンターは、この中学からラグビーを始めた。
「自分のやってきたことが、少しでも還元できればいいなと思って来ました」
参加者のリクエストにも気さくに応じて、記念撮影にも加わった。
林は2日前の金曜日、トップリーグのカップ戦でリコーとナイトゲームを戦ったばかり。後半25分、チャーリー・ローレンスに代わって、東京・秩父宮のピッチに立った。
試合は19−13で勝利し、開幕3連勝に貢献した。帰神したのは前日だった。
「大丈夫。疲れはありません」
同志社香里出身の現役トップリーガーは今、2人しかいない。もうひとりはトヨタ自動車の新人センター・山口修平。林はそのつとめを果たした。