コラム 2019.01.06

【コラム】秩父宮の7分24秒、早大・齋藤直人の悔恨。

[ 中川文如 ]
【コラム】秩父宮の7分24秒、早大・齋藤直人の悔恨。
敗戦に学び、ラストイヤーに活かしたい齋藤直人。(撮影/松本かおり)

 秩父宮の7分24秒。
 全国大学選手権準決勝、早明戦。後半9分58秒から始まった早大の連続攻撃は実に40フェーズ近くまで及んだ。しのぎきった明大が一気に反転逆襲、トライを導く反則を勝ち取ってプレーが止まったのが17分22秒だった。40分間のほぼ7分の1にわたり、途切れなかった攻防。試合のターニングポイントになった我慢比べを、勝手にそう呼びたい。

 この7分24秒を振り返るにふさわしいのは、早大のSH齋藤直人なのではないかと思った。
 これでもかこれでもかとラックに駆け寄り、前進できない味方と前進を許さない相手に間近で接し、パスを散らしながら抱いたジレンマ。それがすなわち、1か月前の対抗戦からスコアがひっくり返った理由につながる気がした。

「攻めているようで、あまり攻めている感じがしなかった」
 やっぱり。
 察した明大の変化は、試合後に敵将の田中澄憲監督らが明かした対策と符合した。
「対抗戦の時より、2人で止めに来る意識が強かった。1人目が下に刺さり、2人目がボールに。徹底されて、球出しを遅らされて、テンポよくさばけなくて」

 奪われないまでも、しつこくからまれる。だから、ボールをキープしているのに攻め手は思うに任せなかった。絶好機と好機の境目になる22メートルライン付近を右往左往。時にFWに近場を突かせ、時に遠くへとBKを走らせ、流れを操っているようでいて、追いつめられていたのは早大の方だった。

 できることはなかったか。
「相手のからみに対してレフェリーとコミュニケーションを取ったり、うちのFWに相手をはがす(ボールから遠ざける)ように促したり、僕の声かけでもう少し局面を変えられたんじゃないか」
 予期せぬアクシデントもあった。
「あの時間帯、うちは1人少なかったんですよね? 攻めている間、気づかなかったんです」

 HO峨家直也が負傷のためピッチを退いていた。「それならドロップゴールを狙うとか、別の判断があってよかった。外れても、プレーが切れて15人に戻って、ドロップアウトからマイボールでやり直せるから」
 見る方には手に汗を握る展開も、やる方にすれば本意ではなかった。

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