国内
2018.11.29
際立つ強さ。大東大スクラム。 リーグ戦ファイナルでペナルティトライ奪う
スクラムからは、きっちりチャンスを作った大東大。後半35分にはペネルティ・トライで同点に追いつく(撮影:大泉謙也)
スクラムには勝った。そんな感触があったからかもしれない。大東大のフロントローに悲壮感はなかった。
関東大学リーグ戦1部の覇者を決める大一番が、11月25日、東京・秩父宮ラグビー場であり、5勝1分けの東海大が、6戦全勝だった大東大を28−21で撃破。大東大の連覇を阻止し、2年ぶり8度目のリーグ戦王者に輝いた。
勝利した東海大の木村季由GM兼監督は、「リーグ戦のファイナルにふさわしい、お互いの強みをぶつけあった良い試合になりました」と力強く語った。
スカイブルーの軍団は、前半からハイテンポのアタックで大東大を翻弄。そして21−21の同点で迎えた後半ロスタイム、敵陣ゴール前のラインアウトモールから、HO加藤竜聖が右隅に飛び込んだ。木村GM兼監督も「獲り切ったところは成長できた部分」と評価した決勝トライだった。
大東大のHO平田快笙キャプテンは、「後手後手になってしまった」と敗戦を振り返った。
「チームとしてディフェンスから流れを掴んでいこうということでしたが、東海大さんの速いアタックに対し、後手に回ってしまいました」
ただ強力な足場は健在だった。
「しかしスクラムは通用していたので、大学選手権でも強みを活かし、今日の結果を踏まえ、頑張っていきます」
ファーストスクラムは試合開始直後。FW8人の総体重では互角だったが、「3本目くらいから」(大東大・PR古畑翔)大東大の強みが出すことができた
という。
「1、2本目は、東海さんの組み方、レフリーの方との視点が、自分たちのイメージと合わない部分がありました。3本目くらいから、レフリーとコミュニケーションを取って改善できました」
レフリーと認識を共有することで、より良いスクラムを組むことができる――パワーだけでなく、ゲーム中の修正力を含めた総合力が、大東大スクラムの強みだ。
前半12分、大東大は5本目のスクラムで最初のコラプシングを奪う。そして同16分にも敵陣でコラプシング獲得。NO8アマト・ファカタヴァのチーム初トライをお膳立てした。
しかし東海大は全体として、NO8アマト、LOタラウのファカタヴァ兄弟、そしてCTBシオペ・ロロ・タヴォの留学生3人に大きな仕事をさせなかった。堅陣を敷き、後半30過ぎまで7点(21−14)のリードを保った。
そんなスコアを力尽くで動かしたのがスクラムだった。
後半35分、東海大ゴール前でマイボールスクラム。スクラムトライを奪い、雄叫びを上げた。PR古畑のトイメンはフレッシュな途中出場選手に変わっていたが、プレッシャーをかけた。
「相手が(途中交替で)替わって、組みづらさもありましたが、『誰が来ても押せる』ということはポリシーとして持っているので、もう一段階、自信がつきました」
はたして今季の大学最強スクラムは大東大なのか。その答えが出る舞台があるとすれば、大学選手権をおいて他にないだろう。
大東大の青柳勝彦監督は、7点差(21−28)の敗戦を噛みしめながらも「終わりではない」と淡々としていた。
「今日はお互いの強みが出た試合でした。大東としても、強みであるスクラムを前面に出して、トライを取れました。東海さんも強みのモールで取った。これで終わりではないので、修正して頑張っていきたいと思います」
リーグ戦王者に返り咲いた東海大は、12月22日、大学選手権の準々決勝から登場する。1つ勝てば正月を越え、2つ勝てば2年ぶりの選手権ファイナルだ。
リーグ戦2位となった大東大は、12月16日の3回戦が初戦となる。
もちろん大学選手権では、スクラムに勝っても試合に負ければ、道は途絶える。いよいよ集大成だ。(多羅正崇)
各校からのスクラム対策にも「包囲」された大東大。シーズンを通してたくましさを増した。(撮影:大泉謙也)