国内 2018.08.30

2018年の宗像サニックス。サンウルブズ勢の融合経てTL開幕に挑む。

2018年の宗像サニックス。サンウルブズ勢の融合経てTL開幕に挑む。
宗像サニックスに新加入のジェイソン・エメリー。今年はサンウルブズでも活躍した
(撮影:Hiroaki.UENO)
 宗像サニックスの藤井雄一郎監督は、「借金を返してるところ」と独特の言い回しで現状を語った。
 日本最高峰トップリーグの開幕節を11日後に控えた8月20日。都内でのプレスカンファレンスでのことだ。
 今季は4年目で右PRのヘンカス・ファン・ヴィック、東芝から移籍でLOのジェームス・ムーア、さらに新加入でCTB/WTB/FBのジェイソン・エメリーという3選手がサンウルブズに帯同。7月中旬までスーパーラグビーに参戦していた。何より藤井監督もサンウルブズのキャンペーンディレクター、ゼネラルマネージャーを任され、定期的にチームを離れていた。
 国内シーズン直前に合流した選手と国内滞在組との連携、指揮官自身と他のスタッフ陣との細かなすり合わせなど、31日の開幕に向けひとつひとつのチェック項目をつぶしているところだったのだ。
「なんとか、開幕に間に合うように」
 宗像サニックスは、歴史的にスリリングな一揆を繰り返してきた。猛烈な走り込みで鍛えたたたき上げと身体能力の高い外国人選手が手を組み、陣地を問わず展開ラグビーを披露。2016年にはその前の年に準優勝した東芝を破るなど、エリート揃いの強豪に強烈なカウンターパンチを食らわせてきた。
 近年では元ニュージーランド代表SOのカーロス・スペンサーをBKコーチに、前年に新加入した元イングランド代表LOのジェフ・パーリングをラインアウトコーチ兼プレーヤーに据える。特にスペンサーは、時に藤井監督が席を外した折も基礎力重視の指導を徹底したようだ。外部ブレーンの力を最大化するのも、宗像サニックス流と言える。
「楽しいスタイルだなと、前向きに捉えていましました。コミュニケーションがすごく大事。形も決まってはいるんですけど、(プレー中の)コミュニケーションがあった方がやりやすい。後ろからの声を聞き、反応する能力も(求められる)」
 こう語るのは、SOの福崎竜也。ニュージーランドでの留学経験がある24歳だ。多国籍軍がシャープな動きでフィールドを切り裂くにあたり、選手間の「コミュニケーション」を重視するという。リザーブスタートとなる開幕節でも、互いの息を合わせて胸のすくトライを演出したい。
 注目のオープニングゲームは、本拠地から遠い東京・町田市立野津田公園陸上競技場。相手は今回がトップリーグ初昇格もタレント揃いの日野だ。
 向こうの布陣には神戸製鋼から移ったばかりの木津武士がHOに、NECから加入した村田毅がLOに、サントリー出身の佐々木隆道がFLに、さらにはパナソニックで日本一を経験した林泰基がCTBにそれぞれ入る。この4名をはじめ、日本代表経験者は23名中6名。宗像サニックスのそれより3名、上回る。選手個々の経験値で言えば、トップリーグ常連クラブとひけを取らない。
 もっとも宗像サニックスにとって、強者をなぎ倒す戦いは伝統芸に近い。立地条件の上ではアウェーゲームに近い今度の80分も望むところか。
 登録メンバーのなかで最も注目されるのは、新戦力のダン・プライアーだ。元マオリ・オールブラックス代表のバックローで、身長191センチ、体重103キロの30歳。かつては現日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフが率いていたハイランダーズにも在籍していて、インパクトがある。
 藤井監督はプライアーの凄みを、「覚えるのが速い」と表現する。その心はこうだ。
「うちの選手が(習得に)1か月くらいかかるものを、1日で理解する。サンウルブズでもそうだったけど、トップ選手は覚えるのが速い」
 当日はこのプライアーが元日本代表CTBのロビンス ブライスとともにFLでコンビを組み、ファン・ヴィック、ムーア、エメリーもそれぞれスターターを務める。19時半、キックオフ。
(文:向 風見也)
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