海外
2018.04.13
サンウルブズ初勝利のために、石原慎太郎が沖縄でしてきたこととは。
国際リーグのスーパーラグビーで今季初勝利を目指すサンウルブズにあって、初めてのホームゲーム出場を間近に控えるのが左PRの石原慎太郎だ。
新加入となったこのシーズンは、南アフリカ遠征中の第4、5節で途中出場。しかしその前後にあった東京・秩父宮ラグビー場での試合では、同じ27歳の稲垣啓太らが石原のポジションを埋めていた。
一時は別動隊に参加していた石原がチャンスをつかみそうなのは、4月14日。この午後は秩父宮での第9節でリザーブに入り、ニュージーランドのブルーズを迎え撃つ。
「(南アフリカでは)いい経験ができました。もっと試合に出たかったという思いはありますけど、感触は悪くなかった。ニュージーランド勢の安定感は見ていても十分にわかりますが、(サンウルブズは)それを超えるレベルにならなきゃいけないです」
4月1〜7日はサンウルブズの本隊から離れ、ナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の沖縄合宿に帯同した。
強化システムの構造上、NDSはサンウルブズの下部に位置する。石原にとってのNDS行きは、悔しい決定でもあったろう。
もっとも、NDSが日本代表の強化機関のひとつなのも確かだ。沖縄合宿のメンバーの多くが、10日からのニュージーランドツアーへ参加。JAPAN Aとして、スーパーラグビーに加盟する計3チームの控え組と練習試合をおこなうのだ。
さらに同時期には、サンウルブズの主力組もニュージーランドでプレーする。JAPAN Aのメンバーも、現地での活躍次第ではサンウルブズの欠員補充を託されそうだ。
それだけに石原は、沖縄滞在時も腐らず牙を研いできた。いつでもサンウルブズへ加われるよう、自由時間も活用する。
無料通話アプリ「LINE」での情報交換や、練習内容などを共有する専用のアプリケーションなどでサンウルブズの様子をキャッチアップ。もちろん仲間がプレーする公式戦もチェックし、収穫や課題を当事者として分析する。
「(JAPAN Aもサンウルブズも)やっていこうというラグビーの大部分は変わらない。サンウルブズを経験していない選手もいるJAPAN Aにとっては、いま(練習で)やっているラグビーを強い相手とやるとどうなるかを共有できた意味でも(公式戦をチェックして)よかったですよね」
ほぼ同じタイミングでNDSとサンウルブズを行き来してきた浅原拓真と意見が合ったのは、沖縄では自分たちの鍛錬に集中しやすかった、ということだ。サンウルブズでは、ベンチ入りメンバーから外れれば実戦練習で次の試合の相手役を演じなくてはならない。しかしNDSは、全選手での戦術の共有やスキルアップなどを主眼に置いていた。
だからだろう。9日から都内でのサンウルブズの練習へ合流した石原は、「自分にフォーカスできた」。稲垣の故障離脱で回ってきたブルーズ戦出場の好機を前に、声を弾ませる。
「(沖縄での)練習はコンタクトもあったし、結構、タフでしたよ。環境も違ったので、リフレッシュできました。チャンスなので試合に出たいです。身体の状態もいいですし、それを出せたらいいですね」
身長181センチ、体重105キロの身体を暖かい沖縄で磨き、東京のフィールドで暴れる。
(文:向 風見也)