国内
2017.12.23
なぜ、アマナキ・レレイ・マフィは休まず全力で戦えるのか。
アマナキ・レレイ・マフィが、フル回転を続けている。
今年2〜7月までオーストラリアはレベルズの正NO8として、スーパーラグビーレギュラーシーズン全15試合に出場。ボールキャリー数、ボールを手に走った総距離、オフロードパス数、タックル数でトップ10入りし、契約延長を勝ち取った。
その合間の6月には、日本代表として3つのテストマッチでプレー。8月からの国内最高峰トップリーグでは加入4季目のNTTコムでここまで計8試合に出場中だ。さらに11月のトップリーグ中断期間中にも、日本代表としてテストマッチ3試合に挑んでいる。
身長189センチ、体重112キロのタフな27歳は、各国の芝の上でずっとインパクトを示している。
「コンディションは大丈夫。ただ、時間が変わったから、すごく…眠い」
こう笑ったのは12月2日、東京・秩父宮ラグビー場でのことだ。日本代表のフランス遠征から帰ったばかりとあって、時差ぼけの治らぬさまを素直に明かしていた。
この日はトップリーグ中断明け1戦目の第10節で、神戸製鋼と28−28で引き分けていた。14点差を追う後半7分から出場して同ロスタイムに追撃のトライを決めるも、及ばず。複雑な表情を浮かべていた。
「スコアが離れていたから、後半からインパクトを出したかった。勝つようにね。だけど…」
続いてのトップリーグでの出番は、ここから1試合を置いての第12節にやって来た。愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でのトヨタ自動車戦に先発したマフィは、一時出血で退きながらも持ち前のパワーとスピードを活かし続けた。
自陣ゴール前でのジャッカル、相手のオフサイドを誘うキックチェイス後の肉弾戦へのぶちかまし…。スクラムが劣勢に回ったとみるや、円陣でFW陣に声をかけた。多彩な形で「勝つように」の思いを表した。
試合は15−22で敗れたとあって、ことが思い通りに運ばなかった様子を「(本当は)俺らの勝ち」。ちなみにこの日、盟友の金正奎主将は「もっといいコミュニケーションをとって、チームに一貫性を持たせたかったんですけど、それができなくて残念です」と反省していた。プレーオフ進出の可能性は絶たれたが、残された試合を制することでプライドを示したい。
それにしても、マフィはなぜ疲れを本番で見せないでいられるのか。当の本人は「なんでやろ…」と空を見上げ、こんな答えを出した。
「いい準備ができたら、絶対にパフォーマンスはいいと思う。疲れるとしたら、それはいい準備ができていないということ」
関西大学Bリーグの花園大を卒業すると、2014年度のトップリーグで活躍。そのまま日本代表入りした。ほどなくして大けがに見舞われるも、驚異的な回復力で2015年のワールドカップイングランド大会に間に合った。いまは繊細なリカバリーとトレーニングを積み重ね、ただ目の前の勝利を見据えている。
12月24日にあるトップリーグのリーグ戦最終節(対クボタ/千葉・フクダ電子アリーナ)ではリザーブスタート。勝負所での投入が期待される。
(文:向 風見也)