海外
2017.12.07
ヴィリー・ブリッツの「ローテーション」&「5位」への道。「役割忘れずに」
波のような金髪がライオンのようだと評判のヴィリー・ブリッツは、2季連続で狼のチームに入った。
国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦するサンウルブズは、12月4日、3年目のシーズンへ挑むスコッドのうち26名を発表した。
ヘッドコーチには、かつてハイランダーズを束ねて2015年のシーズンを優勝したジェイミー・ジョセフが招かれた。ジョセフは日本代表の指揮官も兼ねるとあって、両者の連携強化が期待される。
昨季は12試合に出場した身長193センチ、体重108キロの29歳は、来年2月の開幕へこう意気込んだ。
「優勝経験のある監督がいる、いいコミュニティに入れた。ジョセフから学べることもあると思いますが、自分もチームに寄与したい。ベストを尽くす」
LO、FL、NO8と複数のポジションを担うブリッツは、母国の南アフリカでライオンズ、チーターズの一員としてスーパーラグビーを経験。2015年に来日して以来は、国内トップリーグのNTTコムに籍を置く。
今季はサンウルブズに加わり、タックルや肉弾戦へのぶちかましなどでチームを支えた。国内居住3年を回る来年夏以降の代表入りが望まれている。NTTコム加入後もチーターズでのプレーを続けたが、かねて「あれは、ディベロップメント(発展)のためにNTTコムがチーターズへ送り出してくれた形」と強調。無事の日本代表資格取得を、何よりも本人が望んでいる。
「すべてがうまくいけば、来年11月の代表ツアーの時には資格が取れている。代表とほぼ同じメンバーでスーパーラグビーを戦うことによって、選手同士の信頼関係も培える。それが、私の日本代表に入るチャンスにもつながるかもしれません。3年前の来日時から、ここでプレーをしてワールドカップの日本代表を目指すと決めていました。昨季、フィロ・ティアティア前ヘッドコーチやジェイミーと話す機会があり、そこでもこの話になりました」
チームは前年度まで通算3勝も、来季は「5位以上」を狙う。とはいえ一部選手の体調管理の観点などから、来季も今季と同様に頻繁なメンバー入れ替えがありそうだ。
試合ごとに選手を入れ替える意の「ローテーション」という言葉は、日本楕円球界の流行語となった。コンビネーション構築に難儀しそうななか、上位争いという目標を達成するには何が必要か。
ブリッツは、各選手のフォロワーシップが必要だとした。
「ローテーションなどについての問題は、コーチ陣にとっても難しい領域だと思います。選手たちにとっては、いかに自分たちのコンディション、パフォーマンスレベルを保てるかが鍵になる。また、メンバーの交代が続いてもそれぞれが(チーム戦術における)自分の役割を忘れずにいること、全員がゲームプランを認識していることが大事。むしろ、それができれば問題は起きないと思います」
来日と他国での代表入りについて助言をくれた父のヴィリー・ヤフォーバス・ブリッツさんは4月に他界。グラウンドに立つ際の心持ちに変化が生じたというが、サンウルブズの仲間を思い浮かべ「いまは皆が家族のように接してくれる」とも話した。赤と白のジャージィを目指すオレンジのライオンは、いつでも「プラン」に沿って身体を張る。
(文:向 風見也)