国内 2017.09.27

東海大で5年生になった。川瀬大輝の「恩返し」への決意。

東海大で5年生になった。川瀬大輝の「恩返し」への決意。
東海大の川瀬大輝(中央)。9月17日の日本大戦(撮影:YUTAKA SAITO)
 大学選手権では2シーズン連続で準優勝という東海大ラグビー部にあって、5年目のシーズンを過ごしているのが川瀬大輝だ。
 春季大会に参加していた6月の時点で、木村季由監督に「いまは彼で(チームが)もっています」と言わしめたバイプレイヤーである。将来もずっとラグビーを続けるべく、「状況に応じた判断ができて、身体も当てられて走れる、オールラウンダーになりたいです」と意気込む。
 身長178センチ、体重95キロ。もともとFLなどFW第3列を務めていたが、いまは通常なら長身選手の入るLOでプレーする。空中戦のラインアウトでは「スピードとタイミング」を大事に捕球役として飛び、ボールが動き出せば攻守を問わず果敢に身体を当てる。木村監督にはこう褒められる。
「周りへの声かけ、ディフェンス、ボールキャリーとプレーの水準が高い。彼の存在がスタンダードを示して、チームにスイッチを入れてくれる」
 島根・石見智翠館高出身。大学入学後は「トレーナーには毎日、体重を聞かれて…。ひたすら、追い込まれました」。食事とトレーニングの成果で、80キロ未満だった身体をいまの形に作り上げていた。
 しかし膝の怪我に泣かされ、3年目のシーズンをほぼ棒に振ってしまう。社会人チームにアピールする好機を逸したことから、4年目に際し、東海大にあと2年残ることを決めたのである。両親には「1年だけなら」と許可をもらい、ひとつのラン、ひとつのタックルに将来を賭けている。
「試合に出させてもらっている以上は全力でプレーして、チーム、監督、コーチに恩返しできたらと思います」
 白眉のひとつであるランについては、「ボールを持ったらしつこく前に、と意識しています。立ってドライブというスタンディングプレーは、チームでも繰り返しているので」。東海大ではテビタ・タタフら留学生と並び、防御に杭打つランナーとして期待される。
 秋から関東大学リーグ戦1部が始まると、背番号4の仕事を全う。9月17日に日大を66−17(東京・キヤノンスポーツパーク)、24日には法大を76−7(同・秩父宮ラグビー場)とそれぞれ撃破。関東学院大との3戦目を10月8日に控える(秩父宮)。
 とにかくリーグ戦3連覇と、悲願の大学日本一へまい進する。その延長で、自分の競技人生を引き延ばしたい。
(文:向 風見也)

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