海外
2017.07.18
2勝目サンウルブズにヘル ウヴェの怪力。「コンタクトで勝てた。大丈夫」
問答無用の突進。これぞサンウルブズのLO、ヘル ウヴェの真骨頂だ。
7月15日、東京・秩父宮ラグビー場。0−14とリードされ迎えた前半15分、敵陣22メートル線付近中央でパスを受け取る。ここから走り出す。
目の前に立ちはだかるは、ブルーズのゲーム主将でHOのジェームズ・パーソンズだ。鋭い出足のタックルで、スピードに乗っていないヘルを止めにかかる。
それでも軍配は、攻める側に上がった。ヘルはパーソンズの胸元へ上腕を突き出し、真正面から押し戻す。球を懐に隠しながらぐいぐいと前進し、周りのタックラーを2名ほど巻き込む。
ここからサンウルブズの攻めが加速する。アウトサイドCTBのウィリアム・トゥポウが左中間のスペースをえぐり、敵陣ゴール前でペナルティキックを獲得。さらに速攻が連なり、16分、インサイドCTBのティモシー・ラファエレが止めを刺した。7−14。スタンドは沸いた。
サンウルブズは結局、48−21のスコアで白星をつかむ。国際リーグのスーパーラグビー参戦2季目にして、初の1シーズン2勝目を挙げたのである。
チーム初トライにつながるラインブレイクを「…覚えてないね」とするヘルは、後半34分まで持ち前のパワーを発揮。ペナルティトライで26−21と勝ち越した後半18分には、そのきっかけとなるモールの先頭に身体を入れていた。
最高気温33度と熱波に見舞われたなか、こう喜びを語るのだった。
「暑いのもあって、ブルーズはちょっと疲れていたかな? それもあって、コンタクトで勝てた。全然、大丈夫でした」
身長193センチ、体重115キロの27歳。トンガ出身の日本人選手で、初来日後に入った拓大では主将を務めた。2014年にヤマハ入りし、今年度はスーパーラグビーの公式戦10試合に出場した。
ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ率いる日本代表と、同種の戦術をまっとうした。攻撃時は、両端15メートル線以内の区画で突進とサポートを重ねる。杭を打つ。その働きは、ブルーズ戦でも遂行された。
「自分の仕事だから、絶対にゲインしたかった。自分が前に出て、皆に自信をつけたかった」
今後はヤマハへ戻り、8月18日開幕の国内トップリーグを見据える。昨秋、今年6月と選ばれ続けている日本代表でも、ずっと持ち味を発揮してゆきたい。
(文:向 風見也)