国内 2017.05.03

日本勢初Vへ高まる期待 桐蔭学園と東福岡が準決勝へ! 仏とNZで4強だ!

日本勢初Vへ高まる期待 桐蔭学園と東福岡が準決勝へ! 仏とNZで4強だ!
フィジーチームはボールを回すと勢いに乗ったが、最後に笑ったのは桐蔭学園(撮影:Toru Ikegai)
 日本勢の「サニックス ワールドラグビーユース大会」初制覇へ、期待が高まる。
 18回目を迎えた2017年大会(男子15人制)は5月2日、福岡・グローバルアリーナで順位決定トーナメントが始まり、全国高校選抜大会に次ぐ2冠目を狙う桐蔭学園高校(神奈川)と、昨年度の国内高校チャンピオンであり新チームにはU18日本代表を8人擁する東福岡高校(福岡)が準々決勝を突破してベスト4入りを決めた。準決勝に駒を進めた海外勢も手強い。予選リーグから4戦全勝のリセ ボルデバッス(フランス)と、ノックアウトステージでギアチェンジしたラグビー王国ニュージーランドのマウントアルバート グラマースクールが栄冠獲得に燃える。
 桐蔭学園は、フィジー王者のクイーンヴィクトリア スクールと接戦になった。
「ゲームメイクは選手の考えた通りにはいかなかった。通用する部分が少なかったですね。展開したところでなかなかゲインができなかったし、FWも思うようにゲインができなかったんで、もうちょっとピック&ゴーとかうまく使えればよかったんでしょうけど…。立ち上がりなんかも、僕らの方はアグレッシブさがなかったなと」(桐蔭学園・藤原秀之監督)
 序盤から躍動したのはフィジーチームで、前半2分に先制すると、15分にも力強くタテを突いたあとオフロードでつなぎ、トライを重ねた。
 しかし、相手を勢いづかせたくない桐蔭学園は、セットプレーの安定とSH小西泰聖の好走で流れを変える。12分に相手ボールスクラムをターンオーバーしてNO8高田風吾からボールをもらった小西がゴールへ走り切り活気づくと、20分にもスクラム後にSH小西がサイドアタックから大きくゲインしてチャンスを作り、ペナルティを得たあとFWが押し込み同点とした。桐蔭学園は26分にもゴール前スクラムからFWの連続攻撃で得点し、19−12で折り返す。
 後半、桐蔭学園が先にPGで加点したあと、フィジーはディフェンス裏へのキックからボールを確保してつなぎ、22−19となったが、27分にフィジーにイエローカードが出た直後、桐蔭学園はラインアウトからモールで押し込み貴重な得点を挙げた。フィジーは最後にトライを奪い執念を見せたが、ノーサイドの笛に歓喜したのは桐蔭学園だった。
 いまはアタックに力を入れ、タテへつなぐ部分にこだわるチームだからこそ、指揮官は身体を当てて前進することに「もっとチャレンジしても良かったかな」と口にする。防御の方は相手に4トライを許してしまったが、「ディフェンスはほとんどやってないんで、まぁ、ちょっと目をつぶってます(笑)」。それでも、貴重な経験をしたと藤原監督は言う。「フィジーは僕らの常識では考えられないようなプレーをしてくる。でも、これがラグビーですね。世界のラグビーを選手たちは体験しているということですよね。頭の中に多少でもインプットされれば、これもいい経験になるかなと思います。準決勝の相手はフランスチーム(南アフリカのフレイムズビー ハイスクールに24−10で勝利)。今度はヨーロッパのラグビーにチャレンジできる。うちのFWがどれくらいやれるのか楽しみです」
 一方、敗れたフィジーのイシメリ・コロイ ヘッドコーチは、「優勝を狙っていただけに、残念な結果になってしまった。リードを許すと冷静さを失ってしまう場面があり、それをコントロールできるようにしていかなければならない。桐蔭はメンタル勝負に強く、攻撃も組織化されているすばらしいチームだった」とコメントした。
 東福岡は準々決勝で大阪桐蔭を69−19と圧倒した。
 前半8分にキャプテンのNO8福井翔大がダイナミックな走りで先制すると、2分後にはSO丸山凜太朗の好走からたたみかけて追加点。18分にはSO丸山がディフェンス裏に絶妙なキックで転がしたボールをWTB稲吉渓太が確保してファイブポインターとなり、25分にはキックチャージからのスピーディーな連続攻撃で4トライ目を獲得した。
 大阪桐蔭は前半にFWがモールで押し込み2トライを挙げたが、後半も東福岡の勢いは止まらず、7分にまたもNO8福井が中央突破からの力走で会場を沸かせると、運動量が落ちずリザーブメンバーも躍動した東福岡は、ゲインしたランナーにサポートが次々とつき速いテンポの継続でトライを重ね、最後は自陣のターンオーバーからの切り返しで9トライ目を取り切り、強さを見せつけた。
 その東福岡と準決勝でぶつかるのは、昨年のニュージーランド国内王者であるマウントアルバートだ。予選リーグで桐蔭学園相手に黒星を喫したものの、チームがガラリと変わったように調子を上げてきて、東海大仰星(大阪)との準々決勝を33−19で制した。
 前半、東海大仰星に先に2トライを奪われたNZチームだったが、7−12で迎えた後半はフィジカルの強さを活かして流れを変える。家族や女子チームなどの大声援も力にしたマウントアルバートは、一人一人の前進力が強く、ロングパスも有効活用、大事な局面での集中力はさすがラグビー王国の若人たちで、トライを重ねて東海大仰星を突き放した。
 快勝に笑顔を見せたジェフ・ムーン監督。「祝うのはまだだよ」と言いながらも、選手たちの奮闘に満足げだった。「ハーフタイムに、『後半はもっともっとフィジカルにいけ』と指示しました。我々にはいいカルチャーがあって、絶対にあきらめない。大会2日目に(桐蔭学園に)負けたのがいい刺激になっているし、準決勝に向けて調子はどんどん良くなってきています。メンバーの使い方もプール戦のときとは違います」
 インタビューの途中、準々決勝の第4試合が始まった。どちらかが自分たちの対戦相手となるため、試合が気になる様子だったムーン監督は、グリーンジャージーのチームを指さし、「おそらくこっちが勝つと思います」と言った。
「ヒガシフクオカでしたね。今大会ずっと注目していたチームです」
 ニュージーランド勢として3年ぶりの優勝へ、こちらも闘志を燃やす。
「我々はトーナメントが大好き。次は、もっと集中力が必要ですね」
 5月3日は休養日となり、4日に準決勝を含む順位決定トーナメント2回戦がおこなわれる。

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東海大仰星×NZチームの激しい肉弾戦(撮影:RUGBY REPUBLC)
<5月2日/トーナメント 結果>
▼準々決勝(1〜8位トーナメント)
・リセ ボルデバッス(フランス) 24−10 フレイムズビー ハイスクール(南アフリカ)
・桐蔭学園高校(神奈川) 29−26 クイーンヴィクトリア スクール(フィジー)
・マウントアルバート グラマースクール(NZ) 33−19 東海大学付属仰星高校(大阪)
・東福岡高校(福岡) 69−19 大阪桐蔭高校(大阪)
▼9〜16位トーナメント
・東海大学付属相模高校(神奈川) 34−19 ジエングオ ハイスクール(中華台北)
・石見智翠館高校(島根) 15−14 佐賀工業高校(佐賀)
・エニセイ-STM(ロシア) 22−7 ヘンリー カレッジ(イングランド)
・御所実業高校(奈良) 62−10 プチョンブク ハイスクール(韓国)
<5月4日/トーナメント組み合わせ>
▼準決勝
・ボルデバッス(フランス) vs 桐蔭学園(神奈川)
・マウントアルバート(NZ) vs 東福岡(福岡)
▼5〜8位トーナメント
・フレイムズビー(南ア) vs クイーンヴィクトリア(フィジー)
・東海大仰星(大阪) vs 大阪桐蔭(大阪)
▼9〜12位トーナメント
・東海大相模(神奈川) vs 石見智翠館(島根)
・エニセイ(ロシア) vs  御所実(奈良)
▼13〜16位トーナメント
・ジエングオ(台北) vs 佐賀工(佐賀)
・ヘンリー(イングランド) vs プチョンブク(韓国)

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