国内 2016.09.21

2016年12月4日、80回目の激突。老舗学生クラブの定期戦復活へ。

2016年12月4日、80回目の激突。老舗学生クラブの定期戦復活へ。
早大GWは1930年創部。慶大J.S.K.S.は1929年。

 日本で開催される2019年のワールドカップの開幕まで、2016年9月20日でちょうど3年となった。南アフリカ撃破から1年経った日ということもあり、その日はイベントがおこなわれたり、いろんな人が思いや意見をSNSに書き込んだり。賑やかな一日だった。
 その日、あるHPのトップページは「復活定期戦まで74日」となっていた。学生クラブの老舗、早稲田GWラグビークラブと慶應J.S.K.S.クラブの定期戦復活を知らせるサイトだ(http://gw-jsks.com/)。
 2016年12月4日 日吉競技場 10:00キックオフ
『2つの歴史が再び重なり合う』と大きく記してある。
 同サイトの中の「定期戦復活宣言」に思いが込められていた。
「昭和の初期に両チームが創設され(早大GW=1930年、J.S.K.S.=1929年)、好敵手同士ということで切磋琢磨してきた両チーム。当時は有力大学のラグビー部やGW、JSKSのような少数のクラブしか対戦相手がいない時代だった。その後、第二次世界大戦で活動の休止を余儀なくされるも、終戦後日本の復興と共に両チームも先輩諸氏の多大なる努力と熱き情熱のもとチーム活動を再開。1948(昭和23)年には、GWとJ.S.K.S.の間でおこなわれていた定期戦をベースに、他チームにも参加を呼びかけてクラブリーグ結成を目指そうとなった。その結果、1952(昭和27)年に現在の関東6大学クラブラグビーフットボール連盟(KCRF) の原型へと発展した」
 GWとJSKSがKCRF創成の中心的存在だったこともあり、秋におこなわれる同リーグの最終戦は必ずGW-JSKS戦が定期戦として固定されていた。しかし関東学生クラブ選手権が始まってから状況は変わる。同選手権での対戦をKCRFの一部にしたり、2002年度以降、KCRFのリーグ戦を春開催にしたり。その中で顔を合わすことはあったけれど、GWとJ.S.K.Sの両チームが1年の集大成を示し、歴史を背負って戦う決戦ではなくなった。
 時代のうつろいを経て、定期戦復活の気運が高まったのはOBたちの思いがあったからだ。ともにGWにだけは負けたくない、J.S.K.S.にだけは…という、ある種特別な感情を胸に定期戦を戦ったOBたちは多い。
 ラグビーの世界では一度戦えば友であり仲間も、毎年シーズンの終盤に、決まって戦う相手は特別だ。自分たちの戦力は整わず、ライバルは充実。そんなシーズンもあるだろう。それでも定期戦があるから頑張れた。勝てると思っていたシーズンに敗れて人生を学ぶ。OBたちはそんな経験をした者として伝えたい。ライバルと呼べる存在を持つことの素晴らしさを。
「単に昔を懐かしがって両チームの戦いを復活させようとしているわけではありません。古い世代の思いを現役諸君や若いOB世代に押し付けるつもりもありません」
「定期戦復活宣言」には、そうとも書いてある。
 先人たちからの提案だ。あらためて絆を太くすることによって、あらたに生まれてくるものがあるのでは、と。
「今後は旧来の枠や発想にとらわれずに、他チームとの交流、情報交換、試合や練習以外の場でのコラボレーションも積極的に取り入れてゆくことがクラブチームが生き残るために重要ではないかと考えています」
 いくつもの方策が考えられる中で、まずは両チームをより活性化させるために定期戦をもう一度。ひとつの物語を復活させることが、新たなストーリーを生むのではないかとOBたちは考えている。
 過去の対戦成績は79回戦って早大GWの48勝29敗2引き分け。復活する定期戦は両チームの80回目の激突となる。

gj

1940〜1950年代、両クラブがともに写った一枚

PICK UP