2人のSHが持ち味出し、サントリーが開幕2連勝。宗像サニックスも2勝目。
写真中央がSH日和佐篤。(撮影/松本かおり)
黄色いジャージーがプライドと勇気を取り戻しつつある。
9月3日に秩父宮ラグビー場でおこなわれたトップリーグの第2節、サントリーがホンダに50-0と快勝して開幕2連勝とした。勝者は前半に2トライを奪い17-0とリードすると、後半はさらに5トライを追加。昨年は9位に沈んだかつてのトップリーグ王者が、ふたたび覇権争いに加わる準備ができていることを示した。
先制点は開始4分だった。ボールを保持し続けて攻めたサントリーは、CTB中村亮土のタテへのランでトライラインに迫る。そこからNO8ツイ ヘンドリックがインゴールに持ち込む。コンバージョンも決まり、7-0と先に主導権を握った。
14分にPGで加点、27分にはFLジョージ・スミスのインターセプトからトライと、着実に差を広げていった勝者。しかし今季から指揮を執る沢木敬介監督は、「前半は(100点満点で)8点」と手厳しかった(ちなみに前節、近鉄に14-13で勝った試合の自己採点は15点)。
「前半はうちのラグビーじゃなかった。自分たちのペースを作れず、前に出られなかった」
安全を求めた深いポジショニング。ボールを持ってランで攻めた方がいいのに…キック。指揮官は「(前節の近鉄のデイフェンスが頭に残っていて)前に出ることを怖れていた」と表現した。得点では上回っていても、アグレッシブさの欠如が納得できなかった。
ただサントリーは、後半に入ってフタを外して前へ出た。一体となって攻める姿勢が前面に。4分にツイがこの日2つめのトライを決めると、14分にはターンオーバーから攻めた。分厚いサポートプレーでパスをつなぎ、最後にインゴールへ飛び込んだのはSH流大主将だった。
ハイテンポで攻め立てたサンゴリアスは、後半22分にSH日和佐篤を投入するとさらにギアを上げた。その後奪った3トライのうち、24分、35分にFL西川征克が挙げたものは、日和佐からダイレクトにパスを受けて決めたもの。監督もトライスコアラーも、「日和佐がチームを前に出すプレーをしてくれた」と背番号21のSHを高く評価した。
沢木監督は後半のチームのデキを「65点」と言った。記者会見で、それを隣で聞いたキャプテンがこのまま黙っているはずもない。2年目で主将の重責を担う流と、チームの伝統でもあるアグレッシブさが染みついている日和佐。持ち味の違うふたりのSHが、ともに勝利を呼ぶ働きを見せたことは、きっとこの先、チームに厚味を持たせるだろう。
秩父宮ラグビー場での第2試合では、NTTコムがリコーを28-13で破り今季初勝利を挙げた。ロブ・ペニー ヘッドコーチは「先週の負けから選手たちは前向きな姿勢で勝利を手にしてくれた。誇りに思う」と話した。
またこの日は山口の維新公園でも2試合がおこなわれ、宗像サニックスが豊田自動織機に41-38と競り勝ち、近鉄がコカ・コーラに26-19で勝った。
宗像サニックスはこれで開幕2連勝。アンドリュー・エブリンハムが3度インゴールに駆け込む活躍を見せ、後半31分にカーン・ヘスケスが38-38と同点に追いつく貴重なトライ。SO田代宙士が78分に決勝のPGを決めた。
近鉄は今季初勝利。コカ・コーラは開幕2試合でまだ白星がない。