セブンズ
2016.04.10
【香港セブンズ2016】日本、来季コアチーム昇格決定。決め手はタックル!
桑水流主将が優勝カップを受け取り、笑顔が弾ける(撮影:早浪章弘)
「Cathay Pacific/HSBC 香港セブンズ 2016」は10日、大会最終日を迎えた。日本はコアチーム昇格決定トーナメントの準決勝でジンバブエに22-0で快勝すると、決勝戦は地元香港を24-14で下し、ワールドラグビーセブンズシリーズ2016-2017にフル参戦できるコアチームへの昇格を決めた。もちろん、今季はリオ五輪での4強を最大のターゲットにしているが、そのためにも負けられない大会で優勝。しかも、2020年東京五輪に向けての強化にも大きな一歩となった。
朝からの大雨の影響でぬかるんだピッチ。ジンバブエとの準決勝は序盤からキックを有効に使いながら、要所で組織ディフェンスからボールを奪取する。前半2分にはコンタクト局面での身体の使い方に優れる彦坂匡克が先制トライを挙げるなど、この試合の戦い方に個性が活きた。後半こそ合谷和弘の1トライに終わったが、初日から5試合連続完封勝利。決勝戦進出を決めた。
決勝戦の相手、香港は予選プール3位とがけっぷちから這い上がってきた。何よりも地元の大声援を受けて僅差の試合ばかりを勝利するなど一発の魅力を秘めた。坂井克行によれば「正直、このスタジアムで香港とやりたくなかったが、非常によく知る相手だし、雰囲気にのまれないことだけ」だったという。さらに、朝からの雨でぬかるんだピッチは、フィジカルでラックサイドを執拗に前に出てくる香港にとって有利な状況も生まれた。
10分ハーフの前半2分30秒、レメキ ロマノ ラヴァの先制トライが生まれるとスタジアムはブーイングに包まれる。5分には香港がカウンターから左タッチライン際を快走したが、羽野一志がゴールライン寸前で止めてドロップアウトに持ち込んだ。「読みだけでした。最短コースを走れたのがよかった」と羽野。
8分には再びレメキがトライを追加してペースを握ったかに思われた。しかし、スタジアムの雰囲気を変えたのは前半終了間際、フィニッシャー姯錦成のトライ。さらに後半1分にはアレックス・マックイーンのトライで14-12と逆転に成功すると、観客席の熱狂はピークに達した。
ただ、今の日本は冷静さを保つ。ボールをキープできればトライは奪えるという共通認識のもと、4分にはトゥキリ ロテがループパスから勝ち越しのトライ。さらに終盤にはレメキがこの試合3本目のトライを挙げて勝負を決めた。
「10分ハーフならバテて来るのは分かっていました。逆転されても時間があったので、落ち着いて攻めることができた」と桑水流裕策主将。殊勲のハットトリックのレメキは、「決勝戦まで(守りは)ノートライできたし、それが自信になっている。次はリオのトップ4のために頑張ります」と喜んだ。
昨年11月に五輪出場を決めてから、今季のワールドセブンズシリーズに招待された大会でも結果を残してきた。ラスベガス大会ではイングランドと引き分け、ケニアを破るなどして6位に入った(2000年ジャパンセブンズの5位に次ぐ好成績)。継続して強化できるようになり、チームも成長曲線を描いている。
「1人目が低く入るタックルを意識して、それが活きた試合が多かった。香港にも1人目が倒してドライブさせなければ大丈夫だと。世界の舞台で、この部分では絶対に負けないという走力などをもっと磨いて、リオで勝負したい」と瀬川智広ヘッドコーチ。
セブンズラグビーはコアチーム上位国と、それ以外の実力差があまりにも大きい。今後の日本の強化を見越しても、その環境にいれることは大切だ。大きな勝利となった。
なお、香港セブンズ2016はフィジーがニュージーランドを破り優勝。今季ワールドラグビーセブンズシリーズ3勝目を挙げて、128ポイントとして首位を走る。2位はNZで123ポイント、3位の南アフリカも122ポイントで追っている。残りは3戦で総合優勝が決まる。
(取材:福田達)
レメキの3トライが勝利に導いた(撮影:早浪章弘)