海外 2016.03.31

タックルと旅を愛す。レオナルディ、サンウルブズ初勝利の後押しなるか?

タックルと旅を愛す。レオナルディ、サンウルブズ初勝利の後押しなるか?
元アルゼンチン代表の実力を発揮しだしたトーマス・レオナルディ(撮影:松本かおり)
 悔しい思いを胸に秘めていただろう。チームが開幕に向け準備を進めるなか、別メニュー調整を余儀なくされていたからだ。当時のことを、本人はこう振り返る。
「できる限りのハードワークをして、なるべく早く復帰したいと思っていました」
 トーマス・レオナルディ。アルゼンチン代表として18キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得した28歳だ。身長190センチ、体重108キロと、FLやNO8としては国際基準のサイズを誇る。今季は、世界最高クラスの国際リーグ戦、スーパーラグビーでのプレーを決断。日本から初参戦のサンウルブズに加入した。
 旅をしてきた。2013年のスーパーラグビーでは、南アフリカはキングズの一員として戦った。その後はスコットランドのエディンバラ、フランスのトゥールーズでプレーと、ヨーロッパでのプロ生活を過ごした。今季のスーパーラグビーに初めて加わるアルゼンチンのジャガーズへは、国内組がセレクトされた。レオナルディは結局、日本を5か国目のプレー先に選んだ。
「世界中でプレーしたすべてが、いい経験でした。フランスでもスコットランドでもそうでしたが、チームで伝わる用語をきちんと覚えればラグビーはできる。いまは日本のチームでスーパーラグビーに…。楽しみにしています」
 各国で請われたのは、その激しさだ。
「バックロー(FLやNO8)として求められるのは、そこだと思うので」
 しかしサンウルブズでは、開幕前の壮行試合で負傷してしまう。タックル、すぐに起き上がり、ボールへ絡みつく。試合序盤に持ち味を発揮したところ、「それで、やってしまったのです」。ハムストリングをひどく痛めたのだ。
 開幕後もしばしグラウンドの脇でランニングやリハビリを重ね、復帰は3月19日の第4節まで待たねばならなかった(東京・秩父宮ラグビー場/対レベルズ/●9-35)。試合前日、こう語っていた。
「この機会を思う存分、楽しもう。チームのためにやれることをやろう。その決意を抱きました。相手に、勢いを与えないことが大事」
 続く26日、優勝経験のあるブルズとの第5節(シンガポール・ナショナルスタジアム/●27-30)でようやく先発NO8の座についた。徐々に、本領を発揮したいところだ。
 4月2日、ポートエリザベス(南アフリカ)で第6節をおこなう。かつて在籍したキングズを向こうに、チームの歴史的初勝利を後押しするか。
(文:向 風見也)

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