海外
2016.02.26
サンウルブズ、ライオンズ戦に向け最終調整。「周りの声を聞いていい判断を」
スーパーラグビー開幕前、メディア対応するサンウルブズの堀江翔太キャプテン
(撮影:松本かおり)
世界最高峰リーグのスーパーラグビーに今季から初参戦する日本のサンウルブズは、2月27日、東京・秩父宮ラグビー場でライオンズとの開幕節を迎える。当日のメンバーが発表された25日は、同・サントリー府中グラウンドで公開練習をおこなった。
チームは15日から7日間、沖縄合宿で連携を強化。始動日が3日と集まって間もないクラブにあって、「ここまでの短い期間にしては100パーセントの準備はした。だいぶコミュニケーションも取れるようになった」とHO堀江翔太主将は言う。実戦練習の合間では、控え組からも修正ポイントの掲示や呼吸のすり合わせの声が発せられる。
19日にはマーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)が母の死去のためニュージーランドに帰国も、チーム最年長の37歳、LO大野均は「翔太もキャプテンシーを発揮してくれている。チームに大きなマイナス(指揮官が抜けたことによるパニックなど)は及んでいない」と話した。指揮官不在の折は代理でHCを務める、フィロ・ティアティア アシスタントコーチ(AC)はこう語る。
「いまサンウルブズにとってどんなチャレンジが待ち構えているかはわかっています。世界一の大会ともいえる環境で、プレッシャーもある。ただ、それも楽しみにしていきたい。(メンバー選考は)ボスのハメットの意見が大部分を占めました。彼の決定がないと、何も始まりませんから」
相手のライオンズは南アフリカがベースとなったチームで、昨季は15チーム中8位。LO大野はかつてレベルズでプレーしたHO堀江主将の話を聞き、南アフリカ人が好むチョークタックルを警戒。自軍のランナーをつかみ上げ、相手攻撃網に背を向けながら羽交い絞めにするプレーを予測し、「そうされた場合は、相手の足に入る」と話した。チョークタックルを繰り出す選手はやや腰高になりがち。下半身に自分の身体をねじ込めば、味方を助ける糸口をつかめるとLO大野は考えている。
「サンウルブズの最初のメンバーに入ったことには、責任を感じます。この年で入れてもらえた感謝もあります」
他の強豪クラブが12月から準備をかさねるなか、サンウルブズは急ピッチで開幕を迎える。呼吸やまとまりが成否を分けるスクラムやラインアウトでは、難儀する恐れもある。スクラムを最前列中央で組むHO堀江主将は、「やってみてどれくらい通用するか。PRと話しながらやっていく。あまりプレッシャーを受け過ぎないようにやっていきたい」とやや手探りの感を覗かせる。ティアティアACはこうだ。
「もちろん、短期間での準備しかできなかった。しかも、いろんな国から選手が集まったミックスチームです。ただ、そのなかでもよく対応できるようになった。大野、堀江、稲垣(啓太、PR)がFW陣をリードしてくれている」
ライオンズ戦での先発メンバーには、HO堀江やLO大野らワールドカップイングランド大会の日本代表が10人、並ぶ。元レッズのエドワード・カークがNO8に、サントリーでプレーするサモア代表のトゥシ・ピシがSOに入った。HO堀江主将は「実際、グラウンド上に出たら、僕らのやりたいことが通用するか、逆に足りないところはどこかがわかる。周りの声を聞いていい判断をしていきたい」と決意を込める。
「強みは、全員が戦術理解をしているところ。どう動くかは、毎練習、毎練習、確認してきましたし。自分らの役割も確認してきた。自分らの戦術略さえ守ればボールも動くし、ディフェンスでも前に出られる。個々の激しさに関しては、実際にやってみて(相手の力関係が)出てくるところかなと思います」
(文:向風見也)
サンウルブズのフィロ・ティアティア アシスタントコーチ。ハリケーンズOB
(撮影:松本かおり)