「一人ひとりが中身のあるラグビーを」。2026年春、ラグビー続けよう! 始めよう! 東京都立大編
4月、学校には新入生がやって来た。毎年、人数不足に直面している大学や高校ラグビー部がある。一人でも多くの経験者、未経験者に楕円球の世界に入ってもらうことが先輩たちにとり使命となる。選手に限らずマネージャーなどスタッフも同じだ。
東京都立大ラグビー部は昨年、関東大学リーグ戦3部から4部に降格していた。無事に4部優勝を果たし、3部との入替戦で駒澤大にリベンジ。1年で3部復帰を遂げた。
4月中は部員獲得のための新入生歓迎行事(新歓)がメイン。部紹介からはじめ8日の「ウェルカム・バーベキュー」、生協前での「トーク&イート」にウエート練習の「マッスルクラブ」。そして15日は「しゃぶしゃぶ食べ放題」。その後は「タグラグビー」「ラグビー体験会」など楕円球に触れてもらった。締めくくりの25日、「練習体験会、確定新歓」を訪れた。
朝10時開始の練習。入部確定者、まだ決めていない1年生が球技場へやってくる。選手は11名、マネージャー4名だ。先輩と一緒に横一列に並んで片手でパスを投げ受けることから始めた。
右手、左手を交互に使う。かなりきつい練習。続いてランパス。タッチフット。FWはスクラム、BKはタッチフットの続き。最後は全員14人対14人でグラウンド半分を使いタッチフットに取り組んだ。約2時間の練習。

今季のスキッパーはCTB萩原唯人(4年)。國學院久我山で鍛えられた。同期の選手は7名いるが、3名は大学からラグビーを始めた。だからこそ、その成長を理解する。初心者の1年生に丁寧に教えている姿があった。
今年の部のテーマは「SOLID」。濃い、厚い、堅い、中身がある、などを意味する。「一人ひとりが堅いディフェンスをする。中身があるようになる」と萩原。昨年まで都立大はPKを得ると長距離キックで敵陣ゴール前へ。ラインアウトモールを組み押し切るなどFWが得点源だった。
「今年は昨年のBKが残っているので、戦い方はBKで取り切りたい」と話す。19日に開催された「第40回 関東大学ラグビーフットボール連盟 SEVEN A SIDE 大会」に、2年ぶりに出場した。Bブロックで1回戦は4部の埼玉工業大を21-10で下す。2回戦は今季、3部に降格した新潟食料農業大戦。17-19と惜敗で終えた。優勝は4部昇格の東京学芸大。準決勝で新潟食農大を50-7と圧倒し、決勝では東京農業大に21-10と競り勝った。
1年生は選手12名(経験者5名)、マネージャー4名が入部を決めた。話を聞いた全員が入部の理由で「部の雰囲気が良い。先輩後輩の上下関係がなく話しやすい環境」を挙げた。
即戦力が期待される経験者には、昨年度の花園でピッチに立ったFWがいた。名古屋高の植木健文だ。小学1年から地元のミドリラグビースクールで始めた。名古屋中・高でPR。第105回大会の記念で愛知県からは2校が出場できた。名古屋は初出場。植木は179センチ、98キロで臨みリザーブで16番をつけた。
昨年12月28日の1回戦、相手は強豪、流通経済大柏高。前後半で7トライを献上し3-43で敗退。植木は後半28分から左PRで出場した。「ラグビーは九州歯科大でラグビーをしていた父のススメで始めました」という。大学同級生の両親は母親の地元、名古屋市で歯科医院を開業している。「ラグビーのおもしろいところはスクラム」と言い切る。
都内の強豪、成蹊中高でもまれてきた乾景一朗は「都立大のSNSや取り上げた記事を読んでいました」。LO、HO、そしてWTBも可能という。
父親が元トップリーガーだが初心者もいる。大﨑陽真は県相模原高、中高では卓球部。相模原といえば三菱重工相模原ダイナボアーズが本拠を構える。父・公嗣さんはそのダイナボアーズのOBだ。
1978年12月生まれ。鹿児島玉龍高から福岡大へ進む。LOで活躍し2001年に福岡サニックスボムズ入り。トップリーグ初年度を過ごした。翌年、ダイナボアーズへ移籍しトップリーグ(‘07年度)も経験。翌年からFWコーチとなり、現在は会社員生活を過ごす。
「子どものころ秩父宮でお父さんの試合を見た覚えがあります。ラグビーボールを触ったことはなかった」と大﨑は話す。大学では「卓球と違うことをやろうと。ラグビー部は怖いイメージがあったけれど都立大にはなく、ここならできる」。お父さんにはラグビー部入部を告げたが「なんとなく返事の様子がうれしそうでした」。
田中杏侑は沖縄の那覇国際高出身。178センチは都立大では長身に入る。FW班でスクラム、希望のLOとしてラインアウトを学ぶ。岩井輝(鎌倉高)はサッカー部でGKだった。「ラグビーボールの不規則な動きがおもしろい」。
マネージャーにも花園を目指していた高校からの入部者がいる。横山結子は福岡・筑紫丘高。「ガオカ」で親しまれる伝統校。兄弟が地元のみやけヤングラガーズに通った縁だ。「家族で試合を見に行っていました」。ラグビー部の先輩の熱心な誘いに応えた。都立小山台高からは選手も入部、2年生にも2名が在籍している。「同級生がいるチーム。先輩後輩の雰囲気が楽しい」と鈴木希空はマネージャーを選んだ。
この日、ラグビー部は練習後、「新歓」の〆として「しゃぶしゃぶ食べ放題」へ向かった。

都立大の公式戦初戦は5月17日。東京地区国公立大大会1回戦、ホームに東京海洋大を迎える(午後3時K.O)。勝てば東京大vs東京外大の勝者と準決勝へ進む(31日)。



