「今年はモールで取り切る」。2026年春、ラグビー続けよう! 始めよう! 東京外国語大編
4月、学校には新入生がやって来た。毎年、人数不足に直面している大学や高校ラグビー部がある。一人でも多くの経験者、未経験者に楕円球の世界に入ってもらうことが先輩たちの使命となる。選手に限らずマネージャーなどスタッフも同じだ。
都下府中市にキャンパスを置く東京外国語大。ラグビー部は関東大学リーグ戦5部に加盟している。府中市はラグビー熱が高く、地元をホームとするリーグワンの東芝ブレイブルーパス東京と東京サントリーサンゴリアスの「府中ダービー」で有名だ。試合がおこなわれる味の素スタジアムもキャンパスから徒歩圏内。またブレイブルーパスでは外大ラグビー部OBがスタッフとして働いている。
とはいえ外大ラグビー部の状況は厳しい。「現在、プレーヤーは14人。ぎりぎりです」。今季のスキッパーSH森勇人(福岡・久留米大附設高)は話す。
4年生が毎年12月に抜けると、1月から新入生が確定する4月までは15人を維持できない。15人のアタック、ディフェンスの練習はできない。
4月15日、大学の昼休みを利用した練習を訪ねた。参加していたのは14人。新入生は2人。1人が経験者、1人は初心者だ。
森は、練習内容を説明する。
「基本的にコンタクトの部分。最初が生身のコネクティングから始めました。続いて外大独自の『シャロー練』。しっかり全員で前に早く出て相手にプレッシャーかけて捕まえるという練習です。その次に外大は人数が少なく、相手をつけてディフェンスの練習をできることが少なく、ブレイクダウンなどの接点から素早く起きて次の接点へ向かうリロードやディフェンスのシステムの部分を詰めました。誰がピラー(ラック形成時の左右に立つ)で誰が残るのかも」
これは3月29日の防衛医科大学校との練習試合で、穴が大きいと感じた結果だ。最後にラインアウトから全員でモールを組んで押し込む。今季の得点を取り切るための戦術だ。
「キックで距離を稼いで敵陣でプレーする。しっかりディフェンスしてペナルティを奪う。そこからラインアウトモールで攻める。だからこそ全員でモールにからんでいく練習をしました」

スローガンは「vitality」とした。「外大は人数が少ないし学生主体になる。フィールド内でも外でも主体性を持ち意識を持って自分から動いていこう。元気の源という意味」(森主将)。目標は「5部優勝、4部昇格」。これはリーグ戦に2021年に移行してからずっと掲げている。2022年、2024年シーズンの2回、入替戦に出たが敗戦。4部とのフィジカルの差を感じた。
4月19日に行われた関東大学リーグ戦のセブンズ大会には出場しなかった。春の公式戦は5月の都内にある国公立大学戦。昨年に引き続き17日に東大と戦う。そこを目標にして15人制の練習にこだわっている。
すでに入部を決めた1年生は4人だ。今年、新入生歓迎行事中に接した中で経験者は4のみ、うち2人が入部した。2人ともFWだ。他に初心者が2人。森も初心者で外大に来て楕円球を選んだ。

「きっかけ2019年の日本で開催されたW杯。僕自身、福岡出身でラグビー経験者は小中高と周りにいました。中高にはラグビー部がなかった。外大はコーチとかもいないので自分たちで引っ張っていかないといけないけど楽しい。経験者は即戦力。僕が初心者だったから、初心者は、どれだけたくさんラグビーの試合を見ることができるかが大切だと分かります」
OBに協力してもらい、ラグビー専門チャンネルの試合を全員で見る環境を整えている。BL東京戦は試合会場で応援する。
1年生に話を聞いた。初心者の岩本優也。細身の身体だが筋肉がたくましい。別メニューでパス、低い姿勢で前進する、タックルなどを教えてもらっていた。

岩本の出身高校はラグビー界の名門、フッコーこと福岡高だ。日本代表出身者を輩出している。その中で岩本は「水球部」に入った。
「中学がソフトテニスで、最初、ラグビーをやろうか迷ったのですが、まだ体もそこまで丈夫でなくて、あと経験できそうにないスポーツをやってみたかった。水球を選びました」。
福高水球部で水泳、立ち泳ぎ、筋トレに励んだ。福岡県で2位になり、九州大会に出場した。高校時代に鍛えたフィジカルには自信がある。高校ではラグビーの授業があり、打倒・ヒガシ(東福岡)をかかげるラグビー部員と一緒にプレーした。その経験から、大学ではラグビーを選んだ。
「高校のラグビーの授業が楽しかったという思い出と、小中高と違うスポーツを経験したかった。ラグビーとアメフトで迷っていました。どちらも先輩に優しくしてもらいました。ラグビー部の雰囲気がよかったし、先輩でも遠慮せずに話せたし素直な態度でいける。居心地がよくてラグビー部に」
ポジションはBKを希望する。「体格的にも合っている。CTBかWTB、もしくはFBかな。足も速い方なので、フィジカル面でも活躍できるBKに」。
FWで参加していた村田伊之助は、茗溪学園中高でもまれた。父親の仕事で上海滞在中の5歳ころから上海にあるラグビースクールで始めた。上海には10歳までいて帰国。戻ってからは千葉市ラグビースクールで続けた。茗溪学園に入り中高とラグビー部に所属。ただ、花園ではメンバー入りできなかった。
「外大に入った時にラグビー部を調べたら初心者が多い環境でした。その環境は茗溪中に似ているなと思った。茗溪中は初心者が半分くらいいるのに太陽生命カップ(中学校の全国大会)で優勝する。初心者と一緒にチームを作りあげる環境が好きだったので、ここに入ろうと決めました。チームは、創意工夫してBKもモールに参加している。PR1番が基本ですが人数が少ないので2番、3番もやんないと」。チームマンの心構えができている。
授業で練習を欠席したHO外島大暉(としまたいき)は埼玉・春日部高出身。「中学でやろうとしたのですけど周りにラグビースクールがなくて高校から始めました」。人数が豊富な部活ではなかったのでHOを務めてきた。県大会は3回戦で敗退。熊谷工や昌平、川越東と強豪の壁を破れなかった。
「外大に春日部高ラグビー部OBの方がいて、その人に憧れて。『入ってみない』と言われていた。合格したら入ろうと思っていました」
専攻はフィリピン語科。週3、4コマの授業が入る。課題もたくさん出されるため高校の時とは違う、と話す。ラグビー部は「みんな自律してやるときはやる。5部優勝、できることならすぐにでも」。

外大、昨年度は5部6位で終えていた。巻き返しは1年生も担っていく。




