王者ブレイブルーパス7連敗。2年目の石岡玲英は苦境に何を感じる?
タックルをしないわけにはいかない。
3月28日、都内のスピアーズえどりくフィールド。24歳の石岡玲英は、ジャパンラグビーリーグワン1部の第13節に先発。東芝ブレイブルーパス東京の14番をつけた。端側のWTBが主戦場だ。
前半13分頃、自陣ゴール前右で相手ボールのラインアウトを迎えた。
戦術上、球の出どころの近くで相手を待ち構える。タックルをしないわけにはいかない。それはいつも通りだが、このエリアに至っては強いランナーが迫りくることが多い。止める側にいっそうの勇気がいる。
今回、石岡のもとへ突っ込んできたのはマルコム・マークスだった。先頭中央のHOとして南アフリカ代表87キャップを擁し、昨年の世界最優秀選手となった31歳だ。
自身より12センチも大きく、32キロも重い突進役へ、石岡は低く突き刺さる。クリーンヒットできた一方、力強いマークスに少し前進された。
この瞬間を本人が振り返れば、役目を果たした安ど感、向こうの強さへの畏敬の念、何より次への反省が口をつく。整理して述べた。
「ゴールラインに近かったので、気持ちが入りました。システム上、自分があそこから離れることはない。あそこで止めないと、ゲームが締まらない。ただこっちのバインド(相手の足に絡む腕)が外れたり、相手に乗られたり(体重をかけられたり)していた。ここでちゃんと止められたら、その後の(スピアーズの)勢いあるプレーはなかったかもしれないです。僕の体重が少ない分スキルで補っていかないといけないところを、当たるだけになっていたのももったいなかったです。そこで(マークスの)足だけでも掴んでいたら、それ以上は進まれなかったかもしれない。…成長していかないといけないです」
身長177センチ、体重85キロの法大元主将は入部2年目。走力、リーダーシップを長所に複数クラブからのラブコールを受け、温かさと情熱のにじむブレイブルーパスを選んでいた。
今季の第2節でリーグワンデビューを果たすと、第4節から直近のゲームまで9戦連続で登場。しかも3度目のスタメン出場となった第11節以来、ずっとキックオフの瞬間をピッチで迎えている。通算2トライを記録。自慢のスピードをアピールする。
「環境に慣れてきて、いい部分を出しやすい流れを作れるようにはなってきたかなと。ただ、細かいところでチームに勢いを持ってこられず…。もっと、トライの数も増やさないといけません」
この日は、肩で息をしながら後半24分に退いた。トップスピードでのキックチェイスを重ねたため、やや疲弊していた。
かつ、7-51で敗れた。最近、決定機を逃しがちなのが気がかりだ。
「敵陣にいる時間にトライが獲れず、逆に相手が簡単に自陣へ来てトライを獲って帰っていく…チャンスが来る前にエラー、ペナルティーをしてしまう…というゲームが続いている感じです。(戦前の)準備では相手を分析し、空いているスペースを探して、(その成果が)見えている部分はあります。ただ、そうした後にスコアを獲ることが難しくなっている」
加入のタイミングを前後しリーグワンを2連覇した名門は、現在、7連敗中だ。苦境を抜け出すべく、決意を新たにする。
「チームの調子が下がっている時に、もっと頑張らないといけない」
クラブではこのほど、シーズン序盤にレギュラー格だったPRのヴェア・タモエフォラウが「一身上の都合」で退団した。
石岡はタモエフォラウと同学年だ。今度の件については詳しく知らないとしたうえで、同僚が去ったことへの思いを明かす。
「彼には彼の(退部の)理由がある。僕がここでラグビーをするモチベーションも、彼がここで仲間としていたことも変わらないです。彼の次の道も応援したいし、彼がこのチームにいてよかったと思える結果を残していかないと、背中を押してあげられない」
自分のために戦うことが、誰かの励みになれば最高だ。




