現役最終年で初の8連戦。サンゴリアス・流大は「人生もラグビーも一緒」。
これで最後になりそうだ。何をするのにもこの前置きがつく。
ラグビー日本代表36キャップの流大は、今年1月、昨年12月より進行中のリーグワン1部を終えたら引退すると発表している。
3月1日には、静岡のヤマハスタジアムで第10節に臨んだ。本人が好きだと話していた、対する静岡ブルーレヴズの本拠地だ。
サンゴリアスがレギュラーシーズンでこの地に立つのは今回がラスト。これからこの地で戦えるのは、ブルーレヴズに順位で上回られたうえでプレーオフの準々決勝に出た場合などわずかなケースに限られる。
緑の濃いフィールドとスタンドとの距離が近いこの舞台を味わったうえで、流は簡潔に振り返った。
「毎度、最高の芝生と最高の雰囲気で、ビジターも温かく迎えてくれる本当に好きなスタジアム。楽しかったです」
身長166センチ、体重75キロの33歳。緩急自在のSHだ。地面の球を拾い上げるリズムをその時々で変化させ、パスで味方のトップスピードを引き出したり、ポジティブな突進をさせたりする。
愛する会場で臨んだ今度のゲームでも、先発して52分間、持ち味を発揮した。52-5と大量リードを奪い、57-24のスコアで3連勝を決めた。
現在12チーム中4位。自身が退いてから失点がかさんだのを鑑み、こう振り返る。
「いい部分もありました。ただチャンピオンを目指す上でどうかと言われたらまだまだ足りないところもあります。ラストの約20分間、相手のモメンタムが凄かった。相手の強いランナーに乗っかられた時、その勢いを止められなかった。修正が必要です」
旧トップリーグ時代に5度優勝し、そのうちふたつのシーズンでは自身が主将を務めていた。自軍が王者になるためのスタンダードを肌で知るがゆえに、快勝劇を手離しに褒めないのだ。
試練は前向きに捉える。雪で中止となった第7節が休息週に組み込まれたため、第8節から8連戦のさなかにいる。見ようによっては過酷に映る、自身にとっても初体験というタフなロードについて、日本代表としてワールドカップ2度出場の戦士はかねてこう語っている。
「僕は嬉しかったですね。はい、試合がなくなって(引き分け扱いによる勝ち点)2ポイントずつになるというのは、1番、避けたかったです。あの試合(本来の開催日)のために遠出の準備をしてくれた方が次に来られるかはわからないですけど、バイウィーク(休息週)に他のチームのファンの方にも来てもらえるとポジティブに考えている。試合で自分たちのラグビーを表現できることが1番、嬉しい。誰もネガティブなことは言ってなかったですね。いろんなことが起きるのが人生。それをしっかり受け入れて次に進む。人生もラグビーも一緒だと思います」
件の第7節は7日に東京・秩父宮ラグビー場で迎える。三菱重工相模原ダイナボアーズとぶつかるその日は土曜日に控え、今回のブルーレヴズ戦は日曜日に挑んだ。ヤマハスタジアムの取材エリアでは、こう補足した。
「(次戦へは準備期間の短い)ショートウィーク。身体のリカバリーがすごく大事になります。メンバー選考のところに関しては(指揮官の専権事項のため)僕らはまったくわかりません。ただ、(一般的には)ローテーションは必要になってくると思う。(次戦の)メンバーがわかった瞬間からコミュニケーションを取っていく。やることは変わらないです」
週ごとに23名の登録メンバーが入れ替わるなか、いかにスタイルの遂行力を高次で保てるかを鍵とする。選手層と組織力が問われる。
「グラウンド内だけではなく、クラブハウスにいる時間も大事。そこでちょっとした癖とか(を把握する)。今回(ブルーレヴズ戦)はケイリブ・トラスクがFBに入る初めての形でしたが、より多くのコミュニケーションを取っていい形でできた。オフフィールド(での繋がり)が、大事です」
ちなみにこのほど対戦のブルーレヴズは、流がいた頃のジャパンでナショナルチームディレクター、アシスタントコーチを務めた藤井雄一郎、長谷川慎が指導陣にいる。
ゆかりの深い2人について、帰りのバスに乗り込む間際に聞かれた流。「挨拶をしたかったのですが、タイミングを失ってしまいました。また、(本人たちに)LINEします」と微笑み、帰路についた。




