ブラックラムズが地元高校で練習。「恩返しすることが大切」
昼休みになった。教室や体育館にいた生徒、教職員が、それぞれ敷地内の人工芝グラウンドを覗きに来る。
男子学生が囁く。
<こんな人同士がぶつかるの?>
<何でこんなところにいるの?>
ジャパンラグビーリーグワン1部のリコーブラックラムズ東京が、活動拠点の近い駒澤大学高校のグラウンドでキャプテンズランをした。
本拠地の東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場での第7節を翌日に控え、近隣の学校で最終調整をおこなったのだ。この試みは、就任2季目のタンバイ・マットソンヘッドコーチが来日してから始めた。これまで小学校、女子大での実績もある。コミュニティとの繋がりを重んじている。
意を汲むひとりはアイザック・ルーカス。母国オーストラリアでスーパーラグビーのレッズにいた頃も、ベースのあるブリスベンのラグビークラブやその他のコミュニティへ顔を出すことがあった。2020年加入のブラックラムズが地元とリンクするのにも、こう頷く。
「いい取り組みです。このエリアには私たちのファンの方が多い。それを確認すること、また恩返しすることが大切だと考えます」
駒澤大高には、部員約30名のラグビー部がある。系列大のトレーニング場を使うことがあり、そのほぼ隣で活動するブラックラムズとも縁がある。昨年、初めてこの高校にブラックラムズが来る際は、指揮官のマットソンが事前に下見もした。
卒業生でもある顧問の畠山和真教諭は、現役時代に日体大やサニックスでプレー経験がある。初心者を含む部員がトップ選手に親しむチャンスは、価値が高いという。
「自分たちのやっていることの承認がなされる感じがあります」
ブラックラムズはまず、本番に向けて戦術面のすり合わせをした。その後、現役高校生も交えてボールに触った。
ニュージーランド代表89キャップのTJ・ペレナラ主将が高校生とキックを蹴り合うさまは壮観だった。2月2日発表の日本代表候補に名を連ねた池田悠希はこうだ。
「フレッシュな気持ちです。地元の高校を訪れることは、地域に根付くうえでも大事。学生たちにとっても刺激があるかと思います。もっとこういう機会が増えてもいい」

全てを終えると、隣接のテニスコートに移動した。松橋周平副将がメガホンを手に、校舎の窓から顔を出す生徒に告知した。
「明日、試合があります! 授業終わりに、ぜひ来てください! チケットも用意しています。欲しかったら、あとで担任の先生に言ってください」
続けて、適した拡声器をルーカスに譲る。日本語の早口言葉を披露させるためだ。
「生麦、生米、生卵!」

拍手に包まれたクラブは今季ここまで6戦3勝で12チーム中8位。プレーオフへ行ける6傑入りを狙う池田は、「いい雰囲気でシーズンを送れています」と頷く。
「ゲームごとの一貫性、大事にしているアタッキングなラグビーやブレイクダウンの精度、エリアごとの戦い方といった細かい課題をひとつずつ改善し、最終的に優勝を目指せるチームになっていければ」
対する埼玉パナソニックワイルドナイツは目下全勝。現在首位の猛者を池田は「プレーオフに進んだら必ず対戦する相手」と捉え、果敢にチャレンジする。



