各国代表 2026.02.04

フランスがアイルランドとの開幕戦の登録メンバーを発表。注目のHB団はデュポン&ジャリベール

[ 福本美由紀 ]
フランスがアイルランドとの開幕戦の登録メンバーを発表。注目のHB団はデュポン&ジャリベール
1年前のアイルランド戦で負ったACLのケガから復活を遂げ、今回の開幕戦で先発するSHデュポン(Photo/Getty Images)

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 2026年シックスネーションズの開幕を飾るアイルランド戦に向けたフランス代表メンバーが発表された。この試合は、現地時間2月5日(木)21時10分にスタッド・ド・フランスでキックオフされる。

『ル・フィガロ』紙によると、木曜日の夜にこの大会の試合が開催された例を探すと1948年1月1日まで遡る。その時も今回と同じ「フランス対アイルランド」だった(パリ郊外のスタッド・イヴ・デュ・マノワールで行われアイルランドが13-6で勝利)。

 この変則的な日程の背景には、2月6日(金)に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピックがある。現地中継局のフランス・テレビジョンは、同日にオリンピック開会式の中継を予定しており、大会組織委員会に日程調整を要請し、参加チーム、放送局、そして大会組織委員会の間で、「オリンピックと視聴者を奪い合わない」という合意がなされた結果、平日の夜に開催されることになった。

 ファビアン・ガルチエHCはメンバー発表の会見で、「本来なら金曜日の開催が望ましかったのですが、オリンピックの関係で不可能でした。土曜日や日曜日という選択肢もありましたが、組織委員会はこの試合を大会の開幕カードに据えることを望んだのです。野心的で優勝候補の一角であるアイルランドが敵地に乗り込んでくる、この構図を真っ先に見せたかったのでしょう」とコメントしている。

 今回、フランス代表の3人のSH、マキシム・リュキュ(膝)、ノラン・ルガレック(ハムストリング)、バティスト・ジョノー(ハムストリング)が負傷で欠場となっている。SOロマン・ンタマックは、昨年末のラ・ロシェル戦でタックルを受けた際に腎被膜を損傷し、医師から『40日間のコンタクト禁止期間』を設けるよう勧告されていた。近日中に復帰が見込まれている。

 一方、LOチボー・フラマンは、準備合宿の42名のメンバーに選ばれていたが、当初からアイルランド戦は欠場すると公表していた。フラマンは『レキップ』誌のインタビューで、妻の子宮内膜症に伴う不妊治療と生殖補助医療を優先することを明かしており、治療がちょうど試合の週と重なった。中途半端な姿勢ではなく妻に寄り添い、二人でこの繊細な問題に向き合うという選択をしたことを明かしている。なお、フラマンはその後のポー戦で足首を捻挫。復帰はその回復を待ってということになる。

 これに加え、NO8グレゴリー・アルドリット、CTBガエル・フィクー、WTBダミアン・プノーといった主力も今回の準備メンバーからは外れている(参考記事)

 一方で、11月のテストマッチで負傷欠場していたHOペアト・モヴァカ、FLフランソワ・クロス、SOマチュー・ジャリベール、CTBヨラム・モエファナ、WTBテオ・アティソベ、そしてSHアントワンヌ・デュポンが復帰した。

 メンバー発表後の会見で真っ先に投げかけられた質問は、デュポンとハーフ団を組むジャリベールの先発起用についてだった。

「我々はこの10日間、『集団でプレーする』というシンプルな目標を掲げて取り組んできました。今回、アントワンヌ・デュポンとマチュー・ジャリベールの二人の強大なポテンシャルを再び組み合わせられることを非常に嬉しく思っています。私がこのハーフ団に期待していることは、この10日間の練習で見せてくれたもの、すなわち、2人の間でシンクロし、周囲にある力を束ね上げる能力です。具体的には、ゲインライン上でのFWの働きをどう活かすか、そして外側のスペースで勝負するためにいかにボールを供給するか、といった点です。さらに守備面でも、セットピースやブレイクダウン周辺、またボールやプレーからから離れた位置でも戦略的な役割を期待しています。

 彼らは攻守の連動性を形作る15人のグループの一部で、ハーフ団だけを特別に議論の対象にするつもりはありません。フランスではハーフ団は『ロマンチックな』トピックであり、誰もが語りたがり、多くの責任を背負わされますが、私が彼らに望むのは、これまで通り我々と共に歩み、そのエネルギー、才能、そして代表にいる喜びを表現し続けてくれること。それだけです」と強調した。

 続いて、デュポンがいればすべてが簡単になるのか? という問いが投げかけられた。

 これに対して、ガルチエHCは、「簡単になる? そういう言葉が相応しいのかは分かりません。確かにアントワンヌ(デュポン)がいると、多くの面でプラスになります。しかし同時に、周囲からの期待も大きくなりますし、彼が抱く高い志に応えるために、我々スタッフの仕事の基準もさらに引き上げなければなりません。キャプテンである彼が、味方や相手チームに対して課すプレッシャーやプレーの強度に追いつくためには、チーム全体でさらにハードワークし、より強いコミットメントが求められるのです」と語り、「『簡単』なアントワンヌなんて、リラックスしている朝食や夕食の時くらいのものですよ……」と笑みを浮かべながら付け足した。

 プノーが不在となるWTBにはアティソベが起用され、ルイ・ビエル=ビアレと両翼をなす。アティソベは昨年のシックスネーションズのイタリア戦、ウェールズ戦でも先発出場している。

「所属クラブのポーでも、タフだった昨夏のNZ遠征でも、彼は我々の期待に応えてくれました。当時、NZではよりプレッシャーのかかるFBを任されたが、見事にやってのけた。これまで、彼は期待通りのパフォーマンスを見せています。しかし、代表入りしたばかりの若い選手たちに対して、『すべてを完璧にこなせ』と過度に要求してはいけません。彼らは非常にモチベーションが高く、自らに厳しく、野心もありますが、ミスをする権利も与えなくてはならない。大切なのは、最終的に我々全員が納得できる結果を出せるかどうか、ですから」と、若手を起用しながら育てていこうとする意欲を感じさせた。

 CTBは、ボルドーで素晴らしい活躍を見せているヨラム・モエファナとニコラ・ドゥポルテールのコンビだが、代表で2人が組むのは今回が初めてだ。さらにSOジャリベール、WTBビエル=ビアレと、ボルドー勢が並ぶ。クラブで見せている阿吽の呼吸に期待したい。

 FBには不動のトマ・ラモスを据え、リザーブにはSHバティスト・セランと、「10番から後はすべてのポジションをカバーできる」カルヴィン・グルグが入った。

 先週、発表されたPRウイニ・アトニオの緊急入院、そして現役引退発表(参考記事)で右PRに誰が起用されるのか注目されていた。「経験豊富でトゥールーズでも重要な試合に出場し、大一番の試合の雰囲気も熟知している」とドリアン・アルデゲリが起用され、HOジュリアン・マルシャン、PRジャン=バティスト・グロと共に先発する。11月の3戦で先発出場していたレジス・モンターニュは、モヴァカ、PRロドリグ・ネティと共にベンチに控える。

 第2列は、シャルル・オリヴォンとミカエル・ギヤールが先発し、後半にユーゴ・オラドゥとエマニュエル・メアフーを投入して「前列5人を一気に入れ替えることで、集団としての強度を保持する。「強さ、パワー、そして若さのバランスを重視したベンチ構成」とガルチエHCは説明する。

 第3列は、オスカー・ジェグーと、復帰してまだトゥールーズで2試合しか出場していないフラウソワ・クロス、そしてNO8にアントニー・ジュロンを配置。ベンチにバックローのポジション全てをカバーするレニ・ヌシが控える。

 11月の試合でオフサイドの多さが指摘されていた。ラグビー面だけでなく、パフォーマンス分析やメンタル面からもアプローチしてきた。アイルランドにボールを持たれても、自陣22mラインの外に押し留めるための強固なストラクチャーとして機能するか注目される。

 また、ワールドカップに向けて攻撃のバリエーションも進化させるのか? という質問に対しては、「重要なのはバランスです。世界最高の攻撃力を誇りながら、守備は5位です。攻撃は守備の糧となり、守備は攻撃の糧となるのです。ボールを保持している時と、そうでない時のバランスを見直す必要がありました。攻守においてパフォーマンスを維持し続けるためには、これらすべての要素を進化させなければなりません。アングロサクソンのモデルをコピーしようとは思いません。フランス人選手のアイデンティティに基づいた、我々独自のモデル、我々独自の解釈を創り上げてきました。我々の選手を南アフリカの選手のようにしようとしているわけではないのです」。

「南アフリカの選手」と挙げたのは、「南アフリカの真似をしている」と批判の声があるからだろう。

 ディフェンディング・チャンピオンであり、今年はホームで3戦、アウェーで2戦と有利な年だ。今大会、結果へのプレッシャーをより強く感じているのか? と尋ねられると、「この10日間、練習で素晴らしい競争意識、高い集中力、そして凄まじいコミットメントを感じてきました。雨の中での泥臭い地道な練習にも、選手たちが情熱を持って取り組み、チームの戦略を構築してくれたことを嬉しく思っていますが、この開幕戦ですべてが完璧にいくわけではありません。私が期待しているのは、これまで何度も我々を支え、ファンがこのチームを信じるための原動力となってきた『情熱の炎』です。2020年に我々が灯すことに成功したこの炎を絶やさずに燃やし続けなければならないのです」とレ・ブルーの指揮官は強く訴えた。

フランス代表 アイルランド戦メンバー

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