スピアーズのルアン・ボタは「日本を代表して戦いたい」。
よいスタートを切ったのは必然だ。
ジャパンラグビーリーグワンで開幕5連勝中のクボタスピアーズ船橋・東京ベイにあって、持ち味を勝利に変えるひとりがルアン・ボタだ。
身長205センチ、体重120キロの34歳で、ポジションは2列目のLOである。
攻めてはタックラーに捕まっても余裕を持って味方へ球を繋ぎ、守備網の切れ目を突っ切り大きなゲインを決める。
守っては高低のタックルで攻防の境界線を前に押し上げ、隙あらば走者を羽交い絞めにして向こうのリズムを狂わせる。
海外出身のFWがひしめくクラブで定位置争いを演じながら、今季はここまで出場した5戦で4度の先発。「(準優勝に終わった)昨季の『少し足りなかった…』というところからスタートを切り、いまのところ今季のパフォーマンスには満足しています。層が厚い中、試合に出られていることはラッキーで…」と好調ぶりを語るうち、自ずと、ナショナルチーム入りへの渇望を口にする。
「…日本代表になりたい思いがありますから」
モチベーションを働きに昇華する南アフリカ人は、2018年に来日。’19年には一時イングランドのロンドン・アイリッシュに在籍しながら、以後はスピアーズに腰を据える。
ラグビー選手は一定のハードルをクリアすれば、出身国以外でも代表入りを目指せる。過去にはおもな条件のひとつに「連続居住5年以上」があったものの、それは’24年から「協会登録5年以上」に変わった。
一時帰国もあってなかなか資格をもらえなかったボタも、件のルール変更によりジャパンを狙える立場となった。
リーグワンでも出番を増やしやすくなった。
キャップを持たない海外選手とあって、長らく出場枠に上限のある「カテゴリB」に遇されていた。ただし昨季からの取り決めでは、国内出身者と横並びで無制限に出られる「カテゴリA」として戦える。
就任3季目に突入した日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチには、昨年、故障がなければ代表のスコッドに加えたかった人物として名前を挙げられた。実力の証だ。
ただし言い換えれば、怪我の治療で念願の代表デビューを果たせなかった。本人はそう解釈していた。
「がっかりしました。もしかしたら…というタイミングで、左ひざの手術をしなくてはなりませんでした。復帰までのリカバリーには5カ月かかりました。ただそれは、自分の目標を定めるいい時間になりました。その時、いったん代表へのドアが閉じた状態となっていました。いまはそのドアを突き破りたい。この国で随分と長く、活動していますから。ワールドカップ(’27年のオーストラリア大会)まで走り切れたら」
恵まれたサイズと身体能力は巨漢の多い母国でも際立つ。本人はこうも思い返す。
「いまは体調がいい。クラブのコーチ陣にはS&Cスタッフに感謝したいです。選手である以上はトップチームでプレーしたい。自国にいた頃は南アフリカ代表になりたかった。いまでもなぜチャンスが回ってこなかったかと理由を求めています。ただ、現在は日本の文化や人に親しんでいて、滞在も長くなりました。日本を代表して戦いたい」
母国には8歳と6歳の男子を残す。現地では2人とも本格的なラグビーに親しんでいると笑う。
「子どもに、父親を誇りに思ってもらえるように、代表でプレーしたい」
6月以降に再始動の代表へ加わるためにも、いまの舞台で爪痕を残したい。
1月24日には東京・秩父宮ラグビー場で、2連覇中で現在4位の東芝ブレイブルーパス東京にぶつかる。




