南ア代表撃破は「終わったこと」 PR稲垣、スコットランド代表戦へ決意語る
日本代表が南アフリカ代表に勝った。国内外でムードが変わった。しかし、当事者の1人であるPR稲垣啓太は異なる実感を持つ。
かねてからの刺激の強い言葉を発す傾向をそのままに、語った。
「南アフリカ代表に勝って、皆さんがイケイケドンドンみたいな雰囲気になっているとは思う。でも、僕のなかでは終わったことで、もう、興味がなくて。その意味では、次に切り替えられている。自分がスコットランド代表に通用するかしないか、だけです。通用しなきゃ、いけないんですが」
4年に1度のラグビーワールドカップ(W杯)に参戦中のジャパンは、23日、グロスター・キングスホルムスタジアムで予選プールBの2戦目をおこなう。
19日、ブライトン・コミュニティースタジアムでの初戦では、過去2回優勝の南アフリカ代表を34-32で下して大会24年ぶりの勝利を挙げている。大番狂わせを演じたわずか4日後となる2戦目の相手は、欧州6強の一角であるスコットランド代表だ。
過密日程下。昨季からジャパン入りのPR稲垣は、今年7月から合流した宮崎での代表合宿を自信の糧にする。あの頃、試合直前期に走り込みがあるなど苛烈な日々を送っていた。
「疲れているのは当たり前。中3日で試合なんて、ありえない。でも、そのようなありえない日程を宮崎でやっている」
南アフリカ代表戦では、後半17分から出場。ノーサイド直前のWTBカーン・ヘスケスによる決勝トライのきっかけとなる、スクラムでの押し込みで存在感を示した。
「コミュニケーションは取れていました。ベンチで前半のスクラムを観ていると、プレッシャーを受けながらもボールは出せていた。それを観ながらヤンブー(同じくベンチスタートのPR山下裕史)さんと『どう組もうか』と話していまして。それを踏まえて、後半、いいスクラムが組めました」
今季は南半球最高峰スーパーラグビーのレベルズでプレー。南アフリカのストマーズとのゲームで出番を得ていた。「スクラムはまぁ、通用した。自分の能力はまだまだこんなものではないと思っていて…」。世界屈指のパワー自慢の国を向こうにも、ずっと、経験値に基づく勝ち気を覗かせてきた。
「出たのは20分ちょっとでしたけど、まぁ、疲れましたね」とも語る。いつもの試合とは段違いの激しいコンテストにあって、早くも満身創痍の感を伺わせている。しかし、先手を取らせないのが僕らの仕事」と、当日までのリフレッシュを誓う。
「ファーストプレー。まず、試合のファーストプレーはキックオフになります。アタックだろうがディフェンスだろうが、そこで自分たちの形を作る」