新たなスティールの鬼。東海大トゥポウ・ランギの「ドリーム」
孤立した走者は逃さない。
東海大ラグビー部のトゥポウ・ランギは、ターンオーバーの能力に長ける。
付属の東海大福岡高を卒業したてのルーキーながら、9月からの関東大学リーグ戦1部で主軸のLOとして活躍。サポートの薄い接点を見つければ、身長190センチ、体重113キロの身体を低く折りたたんでスティールを決める。力強い走りと相まって5戦全勝を支える。
11月3日、東京・スピアーズえどりくフィールドでの首位攻防戦で東洋大を28-27と下すや「皆で最後までディフェンスを頑張って、勝って嬉しいです」。人から球をもぎ取る秘訣については、こう答えた。
「(向こうが倒れ込む)タイミング(が大事)。リアクションも速く」
トンガの楕円球一家に生まれ育った。兄、姉、日本航空石川にいる弟のエドウィンを含む4人きょうだいの次男である。8歳になったらトンガカレッジアテレで競技を始め、来日のチャンスを掴んでカルチャーギャップを乗り越えてきた。
母国では「練習が少ない。金曜日に試合で土日はオフ」という暮らしも、福岡では「全部練習して、試合が日曜日。(その翌日の)月曜日だけオフ」。トレーニングでもフィットネスが多かった。あまりの辛さに音を上げそうになった時は、故郷の家族に電話で励まされた。
「お父さんも、お母さんも『頑張るしかない』って」
辛苦を乗り越えた。日本語は「高校2年くらい」で流暢になり、一定程度のコミュニケーションが取れるようになった。いまは大学の最初のシーズンを過ごしながら、将来の「ドリーム」を見据える。
「最高のパフォーマンスを出して、プロになって、日本代表になりたいです」
東海大OBで海外出身の日本代表選手といえば、ワールドカップ4度出場のリーチ マイケルがいる。ランギは「自分のアイドル」と言えるそのリーチと面識がある。
自身と同じ高校、大学に在籍し、現在は東芝ブレイブルーパス東京でリーチと同僚になっているアフ・オフィナを通じてその機会を得た。ロールモデルと出会えたのは幸せだ。
FLの薄田周希主将に「痛いことを積極的にしてくれる。頼もしい」と、前川鐘平ヘッドコーチに「上のレベルを見て、(より)ハードワークして欲しい。もっとできる。スキルも持っているので」と期待される新人は、15日、神奈川・城山陸上競技場での大東大戦にも先発する。




