フランス代表が対NZ第3戦の登録メンバーを発表。「現状で可能な限りのベストメンバーを選んだ」とガルチエHC。

先週、ウェリントンで行われたニュージーランド(NZ)とのテストマッチ第2戦で、フランス代表は17-43と26点差での大敗を喫した。これは、2020年に発足したファビアン・ガルチエ体制下で最も大きな敗戦となり、連敗したのは、2023年ワールドカップ準決勝の南アフリカ戦から約3か月後のシックスネーションズ初戦のアイルランド戦での敗戦を除けば初めてのことだ。
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善戦を見せた第1戦(27-31)から先発10名を入れ替えて臨んだ第2戦は、NZのフィジカル、スピード、そして勝利への執念に序盤から圧倒される展開となった。14分、ガルチエHCが「見事なプレー」と称賛したラインアウトからのサインプレーで先制トライを許し、19分にはNZのSOボーデン・バレットのシンビンにより数的優位となるが、NZの猛攻を止められなかった。
モールからトライを奪われた直後、LOジョシュア・ブレナンもシンビンで退場となり、数的劣勢の間にさらに2トライを献上。前半だけで3-29と大きくリードを許し、奪われた4トライのうち2つがモールからという結果に。8人中6人が初キャップもしくは1キャップの若手FW陣にとっては、まさに「厳しい洗礼」となった。
ガルチエHCは試合後、「あちこち守ろうとした結果、どこも守れなくなってしまい、最終的に観客になってしまった」と、チームのディフェンスにおけるまとまりの欠如を指摘。「オールブラックスは『チーム』だが、私たちは(今回初めて一緒にプレーする選手が多い)『選抜』だ。チームとしてのまとまりを見出すのは簡単ではない」と、今回ツアーの特殊性を認めた。
ハーフタイムには「自分たちを責めるな」と選手たちを鼓舞したという。
元フランス代表SHジャン=バティスト・エリサルドは、NZが前週から戦術を変えてきた点への対応ができなかったことを分析。「キックを多用しフランスを自陣に入れなかった。短いパスを多用し、SHの周りで動きを作り出す。FWを使ってディフェンスを突破する。フランスの戦術でフランスを攻略した」と指摘している。
後半に入った選手たちがチームにエネルギーを与え、立て直しを図ったものの、前半の大量失点を挽回することは困難だった。ガルチエHCは「私たちにとって厳しい夜だったが、驚いているわけではない。この経験を通して成長することができる。選手たちを褒めるべきだ。前半に29-3とリードされた後、後半に14-14と食らいついたのは素晴らしいこと。次戦に向けてパフォーマンスを向上させるための材料がある」と、前向きな姿勢を見せた。
そして、最終戦に向けてのメンバーが発表された。ガルチエHCは「現状で可能な限りベストなメンバーを選んだ」と語り、先週の先発メンバーから9名を変更。オールブラックスとの初戦で良いパフォーマンスを見せた選手が復帰している。
中でも注目されるのは、FBレオ・バレの連続出場だ。バレは先週の試合後、自身のパフォーマンスについて「キックをチャージされ、ハイボール処理に手こずり、パスをインターセプトされ、個人のミスが大きく影響し、ディフェンスをきちんと機能させることができなかった。ディフェンスの迷いは後ろから始まる。ボールを奪われると、僕たちは常に遅れを取り、受け身になってしまった。このジャージを着ている以上、さらに誇らしいものにしなければならないのに、期待に応えることができなかった」」と厳しく自己批判していた。
しかし、ガルチエHCはバレの続投理由について、「敗戦を自ら引き受けるというのは、私たちが非常に好ましく思う誠実さの一つの形だ。彼だけが責任を負うわけではない。他の選手たちも同様。誰もがもっと良くできると分かっている。レオ・バレは、私たちが今いるこの流れの中で、再び15番のジャージを着るにふさわしい選手。彼が素晴らしい試合をしてくれると確信している」と、厚い信頼を見せた。
WTBにギャバン・ヴィリエールが復帰。CTBには、キャプテンとしてガエル・フィクーが再び出場し、先週から連戦するニコラ・ドゥポルテールとコンビを組む。SOには2戦続けてベンチスタートだったアントワンヌ・アストイが先発のチャンスを与えられた。
また、SHノラン・ルガレックとWTBテオ・アティソグベは、このツアーの3戦全てで先発出場となる。
FWでは、この試合のために先週は温存されていたパワフルなNO8ミカエル・ギヤールとFLアレクサンドル・フィッシャーが戻ってきた。本来LOのジョシュア・ブレナンはFLに配置され、先週LOで先発したマチアス・アラガユはユーゴ・オラドゥとコンビを組む。フロントローには、ラバ・スリマニが右PRに復帰し、左PRは先週に引き続きバティスト・エルドシオ、そしてHOピエール・ブルガリットが今週は2人の間に入る布陣となる。
NZサイドも負傷者のニュースが伝えられているが、フランス代表もPRレジス・モンターニュ、LO/NO8カメロン・ウォキ、FLバスチャン・ヴェルニュ=タイユフェール、CTBピエール=ルイ・バラシなど、多数の負傷者を抱えている。
ベンチメンバーは、HOガエタン・バルロー、このツアーで初キャップ得た左PRポール・マレーズが3戦連続で起用され、右PRデンバ・バンバがこのツアーでは初出場する。さらにLOロマン・タオフィフェヌア、FLキリアン・ティクセロン、FLピエール・ボシャトンのFW6名、そしてSHチボー・ドバニャ、CTB/WTBエミリアン・ガイユトンのBK2名で構成される。
控えのSHに将来を期待される21歳のバティスト・ジョノーではなく、代表でのプレーは先週の9分間だけだが堅実さを見せた30歳のドバニャを選んだことは、あくまでも「今の」勝利を狙っているガルチエHCの意図を感じさせる。
今週水曜日の練習では、「決め事をなぞるな、頭を使ってプレーしろ!」とガルチエHCが檄を飛ばす声が聞かれたとフランスのスポーツ紙「レキップ」が伝えている。これは、単に戦略を忠実に実行するのではなく、前を見て相手が何をしてくるのかを考慮し、状況に応じて判断して動くよう求めるメッセージだ。
彼らの目標は「NZから手ぶらで帰らない」こと。第1戦と第2戦の後半で、選手たちは手応えをつかんでいる。CTBのドゥポルテールは、「先週後半、僕たちは互角に戦えることを示した。前半に多くのトライを許してしまい、頭を垂れてしまってもおかしくない状況だったけど、僕たちは頭を上げ、オールブラックスというチームと互角に戦い、後半は14-14で食らいついた。これは非常に良い経験として残っている。今週のテーマは、少なくとも1勝を挙げることだ」と語っている。
さらに、この会見でガルチエHCはレフェリングの中立性を強く求めた。「私たちはスクラムとモールが正しく裁かれることを求めています。我々は中立なグラウンドでプレーしているように裁かれるべきです。普段、レフェリングについて長々と語ることはありませんが、期待していることがある以上、それを共有します。『中立性』です」と訴えた。
具体的な例として、フランスがNZのトライゾーンに進入したモールでのNZのCTBジョーディー・バレットのサイドエントリー、またバレの最後のパスをインターセプトしたCTBリーコ・イオアネのオフサイドを挙げ、「私に言わせれば、どちらもイエローカードでペナルティトライ。まるで一つのチームだけが監視されているかのような印象を受ける」と自身の見解を述べた。
しかし、ガルチエHCは最後に「レフェリングについて不平を言っているわけではない。私にわかっているのは、土曜日にフランス代表の選手たちが試合に臨むということだ。選手たちは本当にハードワークした。彼らは耐え抜いた。何も言わない。そして土曜日には戦いのグラウンドにいる。これは非常に厳しいツアーで、不可能に見える賭けだが、彼らはまだ挑戦し続けている。乗り越えようとしているのだ」と締め括り、選手たちの不屈の精神と挑戦への意欲を強調した。
フランス代表チーム NZ遠征第2戦メンバー