国内 2025.04.20

新習慣と新環境で躍動のTJ・ペレナラが「相手に知られたくない」こと。

[ 向 風見也 ]
新習慣と新環境で躍動のTJ・ペレナラが「相手に知られたくない」こと。
ボールを捌くTJ・ペレナラ[BR東京]©︎JRLO

 TJ・ペレナラは地球の環境、農業に優しくありたかった。

 だからラグビー選手でありながら、ヴィーガンだった。動物性の食物を摂らずに生きてきた。2019年以降にその暮らしを始める前から、ベジタリアンだった。

 最近は、その食習慣にマイナーチェンジを施した。22年にアキレス腱を断裂し、トレーナーに「コラーゲンが必要だ」と耳打ちされたからだ。

「状態はいいです。シーズン中となると一般的なラグビーの痛みはつきものですが、全く問題ないです」

 身長184センチ、体重90キロの33歳。強豪国のニュージーランド代表として89キャップ(代表戦出場数)を得てきた。攻めの起点を担うSHとして、パス、キック、さらには接点の周りへの仕掛けで光る。守っても際立つ。

 いまは’21年度(’22年)発足の国内リーグワンで戦う。リコーブラックラムズ東京と3年契約を結んでいる。

 ’20年度(’21年)にNTTドコモレッドハリケーンズ(当時名称)でクラブ史上初の8強入りを成し遂げた頃と比べ、この国の楕円球界は高質化しているという。

「リーグ全体を通して、タレントのレベルが上がってきています。かつ、各チームのラグビーのクオリティも高い。それぞれが拮抗していて、競争力もある」

 激戦区で勝ち残るべく、ハードワークしてきた。交代浴、ローラーによるほぐしといったケアを重ねて状態を保ち、15試合中11度もフルタイム出場を果たしてきた。

 そのうち10戦でゲーム主将を務めた。船頭役を担う際は、レフリーとのコミュニケーションが求められる。首尾よく対話すべくクラブハウスで日本語を学び、グラウンドで試みる。

「言葉の壁を感じている。彼らと日本語で話すのが目標です。これは、レフリーの責任ではない。僕の責任です」

 ブラックラムズは前年度こそ12チーム中10位で入替戦進出も、今季はレギュラーシーズン3戦を残して6傑の進めるプレーオフ行きへ可能性を残す。目下8位。

 浮上のためには何をすべきか。熟練者は述べる。

「一番簡単な答えは、勝つことです。おそらく、自分たちの戦い方のアイデンティティがようやく見えてきた。具体的には、言わないでおきます。我々がどうプレーしたいと考えるかは、相手に知られたくない」

 単独取材に応じたのは3月26日の午前練習後。午後のセッションを終えると同じポジションの選手と顔を合わせ、翌日朝にする合同個人トレーニングの集合時間を確認していた。

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